衆院解散前。

By | 2009/07/18

7月21日の衆院解散、8月30日投開票がようやく決定。

ただ、この状況では「大平ショック」程度のことがあっても、状況はさほど変わらないかも知れない。いや、そういうことを画策している人すらいるんじゃないか、というような昨今の検察や、政治を巡る人の生き死にの状況。

そして、選挙前なので、公選法の関連もあって好き勝手に政治のことについて言える「最後の週末」。

個人的な意見しか言わないのはブログだから当然として、今回の選挙では、民主党が単独過半数を取り、そのほか現・野党も(正直国民新党・社民党は立ち位置が微妙だけど)現状維持もしくは、議席を増やしていただくこと、が重要。特に民主党の微妙な勝利だけは現与党に対しても不幸な結果になる、と思う。

まず、自民党は大敗することで、党・官僚組織のための団体ではなく、方向性を国民に向けることが可能になる。15兆円の経済対策というが、実際各省庁のペンディングになった施策に投じただけの部分が多いだけではなく、将来の殖産振興を含めた長いリターンのための投資を行なわなかったことが、現在の自民党の立ち位置を示している。負けることで学ぶこともある筈だし、結局森喜朗氏のさじ加減一つでその政党の方向性が10年決まっていた、その責任を党として取る必要がある。

次に民主党が大勝しなければいけない点としては、即座に国という組織の方向性を変える必要があり、その責任を一党で負うべきだと感じるから。連立であると責任が「連立」になる可能性が否定できない(例:細川護煕政権)。逆に安定多数を与えるようなことになれば、もはや政策実行という点に於いて言い逃れできない。また、実際に寄り合い所帯と言われているが、実質的な政策実行が保守なのかリベラルなのか、ということがようやくはっきりする筈だ。更には大勝することで、下手に失望を買う政策実行をすれば、今回の「大勝後の自民党」、91年の「参院選大勝後の社会党」がどうなったか、考えれば自明とも言える。

今回、民主党が大きく勝つことによって、自民党は功罪あったせよ小泉純一郎政権を作り、党を変えることはできなかったにせよ、その準備を行なうことになった。ただ、実質的には「負けない」と反省はない。そういう点で遅きに失したのは事実だと思うが(郵政選挙で負けるべきだった)、今からでも遅くはないし、その機会を与える選択になることを望む。

そして、最終的には今後の2度の衆院選に於いて、民主と自民が、全体の政策に於いて、リベラルと保守という明確な対立軸の政党に変化していくことを望む。

というのが自分の希望。

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4 thoughts on “衆院解散前。

  1. Teru

    丁度、「マネー資本主義」番組の最終回で、
    90歳のシュミット元独首相が言及していました。

    「弱肉強食の資本主義の蔓延は、議会も含めた政治全体の責任でもあります。(再発防止に)一人一人個人ができることは僅かです。私たちにできるのは、政府がきちんとした経済政策を取るように要求し、チェックし続ける事です。」

    この発言は直接的には、今後の国際金融ルールに対する言及ですが、市場の総意の反映でもあるはずの、政策決定、ひいては投票を含む政治参加行動にも、そのまま通じる話に思えます。

    また、スキをつかれるのか。
    「欲望が飽和点に達した時 人の注意力は もろくも飛散する」
    こう書いた漫画家がいます。他方、マネー資本主義中に出てきた著名人でも、この欲の相乗効果の怖さを、どこまで意識しているか疑問のある人も見受けられました。

    各有権者も、再び、嫉妬や特定議員降ろしといった、欲望の飽和点を一撃されぬよう、
    次期と程度を意識しながら、きちんとした「施政」を取るように、チェックし続ける必要があるでしょう。

  2. wolfy Post author

    >Teruさん

    まあ、そう思います。
    ようやくラインに立った感じです。
    False Startでこれ以上後ろに下がることがないようにしたいものです。

    自民党の自浄機能に期待する声もありますが、残念ながらこの選挙で入れ替わってくれないと、また組織の存続第一の国家をその党と同じく残す可能性があります。まず国ありき、個人ありき、どちらとも言わず、寄り添うものです。少なくとも現在のマスで見た自民党はそうではありません。

    また、もう一つの与党も、わざわざ都議会選から50日投票を後らせたのは、一部に住民票の移動による投票を可能にするため、という声すらあります。それが事実かどうかはわかりませんが、敗北が教えるものがあるのに、勝利しかないという荷電をする団体に、浄化機能があるのか、私には寡聞にして存じません。

    自民党は事実上、3つの党の寄せ集めです。新自由主義自民党、保守・組織社会主義(会社主義)自民党と、保守的リベラル自民党です。勢力的には2,1,3の順でしょうか。同じく民主党も、保守的組織改編民主党と、リベラル民主党の少なくとも2つが存在しているように自分には見えます。

    良くも悪くも、自民党が民主党をばらばらと言えば言うほど、その指摘はこの1年の混沌を見ても、大異小同的な狭い政策しか取れなかったことからも明白です。そしてこの危機においても目先を変えることしか考えない。そうなるとこれで勝てば更に目くらましを繰り返すことになります。これはいいことではありません。自民党を本当に既得権益から剥がし、本当の意味での政策党にするためには、やはり政権から中期的に下りてもらうことが最速ではないかと思います。

    民主党も同じことが言えます。勝った結果慢心してしまえば、小選挙区制の問題から解党的な敗北を迎えるでしょう。むしろ大勝して、一部保守的政策グループが離党しても政権維持できる程度の勝利であれば、民主党の体質を更に変えるチャンスを持つことになります。

    そして2015年を迎えるころに、この2党が「左翼団体主義」新党、「中道リベラル」な民主党と、「中道的保守」の新党と、「新自由主義」の自民党に集約されれば言うことがないのですけどね。あるいは再編せずとも、その政党のその選挙区での候補者を、党員が決める、という本当に民主的な政党に変わるチャンスも出てくるように思います。

    そのためには、ここで民主党は、中途半端な勝利すらしてはいけない、という状況だということを自分は思う訳です。

    だからこそ自民党の古参で組織主義を進めた議員の当落を注視する必要がある、と思います。

  3. Teru

    昨日の各紙向け2政党一面広告は、出稿意図とは逆に、選ぶ側に絶えざる努力を要請しているように見えました。

    自民は、左に法案列挙するも趣旨説明不足。右には他党が反対したからダメなんだという、特定組織票名指しを繰り返した、否定表現による長文「Dis」り。
    その種の公務員労組って、相乗り地方選挙で自ら取りこもうと(あるいは固めようと)してきたから、長年タブーだったのではないのか。
    それ以前に、総裁が二世代遡ったような争点設定を選んだ上、想定相手国を伏せての「危ない」で、不安に乗じようというのは、そもそも生活安心に繋がる手法足りうるのか。

    民主は、都議選の街宣(凱旋印象か)写真背景に、抽象的に期待感の誘い。

    こういった手法は9.11当時に対し鏡像となるも、有権者側の判断力を育てようとしているように見えないのが残念。

    これら広告以外にも伝えられる、それ(検察審査会が、この期に及び組織護持狙いか、不起訴不当だ、とか)も、これ(宗教組織票vs落下傘候補で知名度)も、「コップの中の争い」用の、「寝ててもらったほうが良い」戦術の遺恨が去るまでなのだろうか。

    やはり、現時点の行政責任を負う衆院多数だからこそ、予算・行政運用説明に踏み込むべき。他方、今は立法具体化を阻まれている現参院多数だからこそ、新規法案説明か、そこへの入り口ぐらいは提示するべきでしょう。

  4. wolfy Post author

    >Teruさん

    まあ、建設会社があれこれ応援に出るというおなじみのパターンが自民党さんにはありますけどね、それはノータッチ、と。

    なんか、民主党さんが「日本をあきらめない」とやって敗れた「郵政選挙」の逆の再来のような気がします。

    それでも二階さんは楽勝らしいので、まあ、そういう県もあるんでしょうねぇと。自民以外は今まで港湾なんか目配せしてませんでしたからね。

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