JAL神戸撤退ー箱を作ればそれでOKという発想。

By | 2009/11/06

日本航空が昨日正式に神戸空港からの撤退を発表。
搭乗率70%を超えていて、とも言うが、1日7便のみで、そのために10人オーダーのスタッフがその空港に常駐する。
人件費を考えれば、2ケタ便数が置けない時点で採算ベースに乗るのは苦しいだろうと思う。

神戸市は「交渉のテーブルにすらついてもらえない」というけれど、
私企業の撤退になぜ公費も出さないのに、それも混んでいるところに無理から入れてもらっている訳でもないのに、交渉の余地があるのだろうか、とも思う。
つぶれそうな企業に、コストを払いつつけろという、その姿勢が私物化以外の何ものでもない。
大体、ANAはあっさり撤退が決まってそれが許されるというのがおかしいわけで。

静岡富士山空港も同じ。搭乗率保証を止めます、と言って、撤退すると言われたら「おかしい」
当たり前の話じゃないの?って思うわけだけど。
「テイク&テイク」が当然のように報道するメディアもおかしい。

神戸空港を作るときに神戸市は、空港を作るだけで人の行き来が簡単になるようなCMを垂れ流し続けた。
空港を作るだけで、全てが流れ込んでくるような。
高速道路や新幹線を作れば全てが流れ込んでくるように言う政治家と同じ。
実際にはコストが高いので、「流出」するばかりで「流入」はない。
移動コストが高いので、物も人も頻繁に動かず、年に1,2回動く人の安全弁に過ぎなくなる。
要するに「人・物・サービス」の流出路を作っている、ということだ。
安くなければ、恒常的な人・物・サービスの出入りなどない。
地価が安くても、それなしには動かない。

で、実際に流入するのは「造る業界」の人へのお金ばかり。
市民の税金は「流出していく」。
で、政治家は何故それを造るのか?
自明な話。

それをどう使うのか、どうマーケティングするのか。
収益事業としてではなく、社会コストとして「損失」として計上するのが適当か、ということも考えない。
第3セクターにすれば全て解決、民営化すれば全て解決。
そんな本質でない議論にだまされ続ける。
民でも官でも、マーケティングが不可欠な時代になっているのに。

高速道路をどうするのか、リニア新線をどうするのか、空港行政をどうするのか、体育館や市民会館をどうするのか、なんてのも同じ話。

造れば全て解決する、という単純な考え方をしたツケは、現世代が払い続けるのだね、と。
そしてそう考えて宣伝する背景は…自明だよね?

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