口蹄疫:民間の種牛6頭処分問題での東国原知事「感情第一」の侮言。

By | 2010/07/17

宮崎県の口蹄疫問題で民間種牛6頭が殺処分され、周辺10kmの家畜の移動制限が明日0時に解除に。
ただこの東国原知事の感情優先の国を侮辱する発言は許しがたいものがあり、口蹄疫に関する問題を国民からマスクさせてしまう可能性があるんじゃないか、と懸念する。
いつまで感情第一で議論するのだろうか。

・民間の種牛は貴重である
・「官製」のスーパー種牛は特例で離島に移動させている
・種牛を育てるには数十年かかる

これらは確かにそうであるけれど、それであればこの国は畜産を守るべき事業として行ってきたのか。
はっきり言えばノーである。
それは畜産国である国に行けば判ること。

アメリカ入国時の通関の用紙にはこんな項目が2つあります。

・農場/飼育場/牧場に滞在したことがある
・家畜に近い場所(家畜を触ったり取り扱うなど)に滞在していたことがある

これに引っかかれば、別室で検査を受ける可能性があるということ。

その理由は検疫、特に口蹄疫予防に国を挙げているということ。

一方カナダに至ってはこう。

・農場に滞在していたことがありますか?あるいはカナダで農場へ行きますか?

その上カナダ入国時には1m程度の「濡れたカーペット」の上を歩かされるのを、行かれた方は記憶されてますでしょうか?それは口蹄疫対策で消毒を実際に強制されている、ということでもあります。

英国では1967年、2001年の口蹄疫被害の際には、軍隊を投入するなどしながら、発生した場所から周囲3km以内で殺処分にしています。

横浜市衛生研究所のサイトには、以下のような記載があります。

口てい疫(口蹄疫)から回復して、あるいは口蹄疫ワクチン接種済みで口蹄疫ウイルスに暴露しても発病しないで、生きている口蹄疫ウイルスが感染後28日以上経過しても咽頭部から分離できる場合に、その動物を口蹄疫ウイルスのキャリア(carrier)と呼びます。

家畜の牛が口蹄疫ウイルスのキャリアを持続する期間は通常6ヶ月を超えませんが、3年半に及ぶこともあります。家畜の水牛、羊、山羊が口蹄疫ウイルスのキャリアを持続する期間は通常数ヶ月を超えません。羊は9か月まで、山羊は4か月まで口蹄疫ウイルスを保持続けることがあるとされます。

(中略)

口蹄疫ウイルスに感染した集団において、口蹄疫ウイルスのキャリアの割合は、野生のアフリカ水牛では、50-70%に達することがあります。牛や羊では15-50%に達することがあります。豚においては、感染後3-4週間で口蹄疫ウイルスが排除されて、豚は口蹄疫ウイルスのキャリアにならないとする研究が多いです。

一旦感染した集団となってしまえば、経緯はどうあれ15~50%はキャリアになる、ということが重要です。

また、日本のブランド牛の単位当り価格が非常に高いこととが、1頭の価値を国際水準からすれば非常に高くしていることが事態をややこしくしており、そのため「例外での移動を認める」という事態を起こした理由とも言えます。が、本来この種のことは「起こすべきでない」ということは上のキャリアの比率からしても明確です。

加えて、もし複数箇所から移動させるというのであれば、交差汚染を避ける意味で、違う離島での環境を整備することが必須になります。
それをルール化しないと、どのレベルの種牛までを救うのか、またその集団がキャリア化してしまった場合の追加対策が複雑になるのは必須なので、そのような移動を認めることはできるだけ避ける必要があるのではないかと感じる事象です。

それを会見の際に(端的に切り出している可能性は…その場合は誰が何を求めて、ということも考える必要があるけれど)淡々とではなく国を感情的に批判する部分を出してしまう、ということに、口蹄疫対策に関する意識を軽んじさせないか、ということをきわめて重く感じてしまうのです。

逆説的に言えば、日本が口蹄疫の汚染国となって、日本からの畜産物を海外に出さないという選択肢もある訳ですが、そうしろと言わず、そのような特例を増やすことに言及する、それがなんだか恐ろしく感じます。特例を作って責任は国。しなければ口蹄疫の対策が遅れた(この責任は別の問題が多数ありますが)ことはさておき、殺した、ということで国の責任。それは違うんじゃないか、と自分は思います。

だって日本の空港で、駅で、湿ったマットを歩かせられたことなんて、一度もありませんし、この国が畜産を大事にしていない所作じゃないですか。
通関(検疫)の時にもそれは聴取項目ではありませんし。

ただ、今後は手順を定めることは大事でしょう。
ISO9001ですら、「手順を決めず対策出来ていること」は、「手順を決めて、遵守できていないこと」よりも「評価が低い」のですから。
その手順を東国原さん、あなたならどうされますか?なんて持論を聞きたいなあと思います。
感情的な批判は、何も産まないからこそ。