橋下徹大阪府知事と「大阪維新の会」のポピュリズム

By | 2011/08/19

どうも昔から(弁護士としてテレビに出ていた頃から)この人にはいい印象を持てなかった。突飛なことを言い、注目を浴びることしか考えていないようだったから。

ところが、その人が選挙に出た、通った。まあ、ここまではいいんです。

ただ、どうも途中からの方向性が迷走する。というか、テレビ受けすることを言うが、内実は伴っていない。彼は小泉純一郎氏を尊敬しているなんて言われているけど、彼とはしていることの奥行きが違うように感じます。

で、現在は彼は小泉氏が郵便局をやり玉にあげたように、橋下氏は公務員・市役所をやり玉にあげています。でも実際にやりたいのは、それじゃなくって極めて右傾化した政策。まあ、この政策の是非は個人の信条に依るものなので、ここでは取り上げません。

ただ、その本質を隠して、吹田市の公務員の給与が高いことだけを訴え、維新の会の候補を市長に当選させるなど、何か違うのでは、と思うようになりました。

今、大阪市職員をやり玉にあげているけれども、昔の高い高いと言われていた大阪市役所職員の給与はかなり減少しているようです。

例えば大阪市は国家公務員を基準としたラスパイレス指数では98ポイント台と、国家公務員より安く、しかもそこから2011年1月に平均3.2%の給与カットを実施し、政令指定都市中最下位になっています。(ただ大阪府は92ポイント台と極めて低い=47都道府県中46位)

また、平松大阪市市長と、猪瀬東京都副知事の論争の中でも、水道局職員の給与実態が明確になっています。
猪瀬直樹さんと平松邦夫 さんの大阪市水道局職員の給料を巡るツイートやりとり

当初、橋下大阪府知事はこの給与問題をあげていたものの、途中から官僚的との批判に切り替え、盲目的な彼の支持者を含め、市が出した数値が信用できるか、という態度に取って変わります。要するに大阪市という組織を守るために市民を切り捨てる、そのために数値を都合良く使う、という主張です。

ところが、今日、実は府の方が官僚的ではないか、という事象が一つ明らかになりました。
WTCへの府庁舎移転問題。

2011/8/04 朝日新聞

咲洲庁舎の防災対策 専門家会議で批判が相次ぐ

大阪府の咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)の安全性や防災拠点のあり方を検証する専門家会議が4日、開かれた。府が示した同庁舎の防災対策について委員側から批判が相次ぎ、防災拠点を複数化する構想についても「実現可能な案を示すべきだ」などと注文がついた。橋下徹知事と専門家らとの意見交換会が18日にも開かれる方向となった。

座長の河田恵昭・関西大教授はこの日、府側が示した咲洲庁舎の防災対策について「卒論指導している学生並み(の内容)で、とても不十分」と批判。府は震災時に職員を人工島の咲洲に集めて災害対応にあたると説明したが、河田氏は咲洲と内陸を結ぶ道路が水没する恐れを指摘。府が咲洲では液状化は起きないとしている点についても「全然根拠がない」と主張した。

咲洲と新別館(大阪市中央区)の2カ所をメーンの防災拠点とする構想についても、河田氏は「大混乱が起きても機能する形にすべきだ」として、府側により詳細な検討を求めた。

…つまり、府のデータは「信頼がない」…移転の為に「安全性や防災対策などをとりまとめただけの案」を府職員に策定させた、ということを示しているのではないでしょうか。
そして、今日の新聞

橋下知事の宿願…格安咲洲庁舎は無駄の象徴に?

大阪府の橋下徹知事が18日、宿願としてきた府庁舎の全面移転を突如、断念した。

自ら提唱する大阪都構想で都庁予定地と位置づけ、大阪市の3セクから購入した際には「府市協調のシンボル」とされた咲洲庁舎(旧WTC)。今後は膨らむ耐震補強費などで「無駄の象徴」にもなりかねず、11月27日に想定される府知事、大阪市長のダブル選にも影響を与えそうだ。

3セクの経営破綻で、大阪市の「負の遺産」だった旧WTC。府が85億円で買い取った当時は、橋下知事と平松邦夫市長が二人三脚で進める大阪再生のシンボルとも言われた。ベイエリアへの企業誘致にも起爆剤になると期待されただけに、市幹部からは「残念の一言」との声が漏れた。

一方、橋下知事は、1193億円かけて建設されたWTCを「85億円で買える」安さを強調してきたが、耐震対策に130億~18億円の追加工事を迫られている。老朽化した現庁舎と並行して補強費や維持費を投入することになれば、「格安が大誤算になる」(府幹部)との懸念も出ている。

このように、移転を断念することになったという。実際にはアセスメントをしていたのか、非常に疑問という結果になりました。このことはトップが権力で組織を官僚的にすることは可能である、ということを示しているのではないでしょうか。

そして、彼が官僚的と批判する大阪市役所が本当に官僚的かどうかを示さず、自らがまず移転ありきの結論を官僚的に府職員に作成させた、その内容が専門家噴飯、という官僚ぶり。

これでは彼がもくろみ通り市長になっても、大阪市は違う意味での官僚的組織になる可能性が高いと言って良いのではないでしょうか。
もしかすると「選挙で付託を受けたので問題はない」と言うのかも知れませんが、公約したことと異なることをすれば、はて、どうでしょうか。

都合の良い「自治」

同じように彼、橋下徹大阪府知事・維新の会のすることで不思議なことがあります。

それは議会の過半数を占めている、府政に関する「府民の会」より先に、過半数を占めていない大阪市東住吉区で明日・区民会議を行うということ。(毎日

恐らく市と反対の結論になれば、特別区になればこのように住民の意見が反映される、というアピールの場にするのだろうと容易に想像が付きます。しかし市政に直接反映されない、加えて特定政党が主催する会議に、それに対する反対意見の方がどれだけ来るのかと言う問題があります。でも維新の会も知事も恐らくそれは無視するでしょう。

それに加え、公約に具体的にうたわなかった、自分達が過半数を持っている場所(府議会)での、例えば国家・国旗に対する教員の起立を強制する条例や、拡大解釈できかねない分限免職規定(これはやりようによっては地裁での「違憲判決」を下した裁判官への任官拒否などと同様のことができる危険性もある)などに関する「府民の会」は一切実施される予定もなく、強行採決まで前者については行ったのは、どこの誰だったでしょうか。

正に「維新の会に都合の良い自治」が表現されるショーケースになるような可能性があります。

「違うところは予算の分配」でもその中身は選挙の後

また、橋下知事はツイッター上でこうも言っています。

2011/7/19 23:53:38
平松市長は未だに大阪都構想は中身がない具体性がないと言い続けていますが、大阪市役所がやろうとしている改革と中身はほぼ同じです。そして決定的な違いは、区長を選挙で選ぶかどうかこの一点です。区長を選挙で選べば、区で全て決定できます。予算の編成権も区が持ちます。市役所から解放されます。

「改革の中身はほぼ同じ」
「決定的な違いは区長を選挙で選び、予算の編成権を区が持つ」
(区長を公選したからと言って、区に予算が付くわけでは無いですから)

それでは、何の予算を区が持つのでしょうか。

大阪市議会 都構想めぐり議員討論もかみ合わず

産経新聞 8月10日(水)23時22分配信

大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会が10日開かれ、大阪維新の会が提示した府市再編をテーマに同市議会としては初めて議員間討論が行われた。11月に想定される大阪府知事選、大阪市長選のダブル選の争点となる大阪都構想をめぐり、既存政党と維新の直接攻防として注目されたが、議論はかみ合わず、「論点整理が必要」として予定の半分の約2時間で打ち切られた。

この日の委員会で、維新側が、大阪市を特別自治区に分割した際、各区の財政をどう調整するのかは、ダブル選が終わった後に示すと説明したことについて、自民市議は「行き先の分からない切符を持たせて泥船に乗せるやり方」と批判。維新側は「現行法の枠内で進めるのか、新しい姿に挑戦するのか。明らかにしてほしい」と迫った。

また、維新側は平松邦夫市長に対し、府市再編について、維新代表の橋下徹大阪府知事と公開討論することを要請。平松市長は「まず具体的な大阪都の姿を市民に示すべきだ」とし、維新の姿勢を批判した。

選挙の後に公表する。
つまり「白紙委任」をよこせ、だそうです。
要点をぼかして「討論しろ」というのも不思議な感じがします。

なぜ、こういうおかしい論点が続くのか。
個人的にはだから維新の会が信用できない、としか自分には言えません。