UMPCに何が必要か。

By | 2008/07/16

今日の日経によると富士通もUMPC(Ultra Mobile PC)市場に参入するそう。価格は5万円程度でIntel ATOMをCPUに使用した10インチ以下のスクリーンを備えた機種を今秋中国で発売の後、来年日本発売とのこと。

日経IT plus >富士通も5万円パソコン、今秋まず中国で販売

事実上HP 2133が火を付けたUMPC市場。日本では以前にも書いたようにレッツノートのB5サイズがこれにほぼ該当するんだけども、違いは何しろ価格。B5ポータブルってのはとにかく高いって印象しかない。未だに18万くらいする。A4サイズが10万も出せば十二分な性能を持っているのと比べても、適正な価格とは思えない。ただ、このカテゴリーに米系が参入しなかったのは、ユーザビリティーの問題だと思う。

実際10年以上前に初期のトラックボール型のB5のレッツノートを使用していると、アメリカ人の方から興味深そうな質問をいくつも受けたことがある。そして彼らはとてもそれがクールだという。でも彼らはそのキーボードの小ささに、自らが使うことには消極的になる。その繰り返しだった。

HP 2133がクリアしたのは、そのキーボードに対するユーザビリティーへの回答、というシンプルなものだったように思う。画面の大小はそこには問題とされない。しかも小さくて値段も小さいというのは概念的に受け入れ易い。

日本企業がこれからこの分野に参入するのであれば、この入力に関するユーザビリティーに関する回答が出せるかどうかにつきるように思う。ただ、今までの日本のPCでキーボードがすばらしいというのは(事実上日本製だった当時の)IBM以外には見あたらないように思う。実際、現在の日本のポータブル機のフラッグシップであるレッツノートのB5すら、それほど米国では受け入れられているようには(自分には)見えない。

ある意味、その点でスマートフォンやiPhoneがかの国では認められているのだろうなというのは納得できるのだけど、このカテゴリーをUMPCがアメリカで埋めたとしても、日本では更にファーストPCの位置を占める可能性がある。そうなるとメーカーは苦慮するだろうと思う。

そういう意味で携帯よりPCの方が便利なんだと訴えることなしには、日本でのUMPCは市場的に厳しいものになるような気がする。

mixiや匿名掲示板でもそうだけれど、携帯の入力のユーザビリティーのおかげで、短絡的なコミュニケーションしかネット上に行わない方が増えたように思う。

参考> PC Watch 08/7/10 Acer “Aspire One”発表会でのコメントより

発表会にはインテル、マイクロソフト、ギズモードが招かれた。インテルは、Atomのx86アーキテクチャによるソフトウェアの互換性などの面でケータイよりも有利な点をアピール。マイクロソフトは、OS、Webサービスを始めとした、Windowsのソフトウェアの強みを強調。ギズモードジャパンのゲスト編集長いちる氏は、ケータイ電話ばかりではネット利用に制限があり、日本人のネットリテラシーが低下するのではないかと問題点を指摘、Aspire oneのようなネットブックによってネットリテラシーの向上を実現できると期待を寄せた。

その問題を少しでも軽減するためには、このような形でのユーザビリティーの向上が不可欠だと思うのだけれども、それに見合う筐体を作っていただけるのか、富士通だけに少々心配(^_^;

安かろう悪かろう、ではダメで、要はUMPCでは何が重要かを分かっているか、と思うのですが。

3 thoughts on “UMPCに何が必要か。

  1. Teru

    HP社は、封建的な市場の把握と技術的素地は既に持っているように読み取れます。キーボードに関しても設計・量産管理の実績ともありますが、積極的に売りにしたことはあまり無い会社です。利幅の薄いハード屋を徐々に離れ、企業経営者がまとまった額を払いうる、解決策提案企画屋の立場が強く出てきています。

    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/interview/20080718/1006134/?P=1

    >唯一、他の国と比べてはっきり弱いと分かるのは若年層。
    >この影響もあって、パソコンに対するリテラシーは米国やドイツなどに比べ遅れ気味

    >日本では、代表的なグローバル企業が社員に配布するパソコンを購入する際、ランクの低いプロセッサーを選ぶ傾向が顕著

    >小さくて軽いもの、安いものを求めるユーザーに向け
    >ちょっと安い程度。かっこ良く感じてもらえるように、デザインにはこだわりました。
    >安かろう悪かろう」と思われたら、全体のブランドイメージを下げる

    分岐点があるとすれば、どこかの国内1/2を握ったLCD TVのように広報イメージにひたすら特化してしまうのか、それとも、以下の自社哲学の実質化に踏み切れるかどうかでしょう。
    キーボードやポインティングデバイスに特化するというなら、いかに買う前に触ってもらうか。そして、3-5年というPC界にとっては次世紀のような未来においても、趣旨の一貫性を貫けるかでしょう。この点ではノートPCは特に製造側の都合が出すぎていて、トラックポイントを目に見える形で併存させ続けている一社を除き、最も造りやすく使いにくいトラックポイントの天下が続いています。

    >開発費の3分の1程度を、新規市場を作るために投資する
    >汎用性を意識して妥協せずに作った
    >個人個人に使い勝手が良いと感じてもらえなければ、次は選ばれなくなります。

  2. Teru

    誤:トラックポイントの天下

    正:トラックパッドの天下

    PC暦が長ければ自明な正誤判断かと思われますが、念のため。

  3. wolfy

    >Teruさん

    もっと古いと「スライドパッド」なんて言い方の方がしっくりくるかも知れません。

    ランクの低いプロセッサ云々の話は、日本の経営陣は固定資産の問題で、1台20万を超えるPCの導入には特に腰が引ける傾向がありますし、どうしてもスペースの問題で、ノートPCを選びがちです。それでセキュリティを失うという本末転倒な側面もあります。

    ただ、それで実際のところどれだけの生産性を失っているかと言えば、実際のところそれほどでも無い、というのが正直自分がいくつかいた会社で感じたことです。それよりメモリを足してくれとか、そういう効率面の問題すら感じてないことの方が問題。2年前までいた会社のPCはネットワーク必須にも関わらず、512MBしか積んでいませんでしたし、その1.5年ほど前まで小生が使用していたPCは、256MB であったため、勝手に512MB のメモリを刺して使っていました。

    その時点でMyPCは2GBだったので、暗黙のうちにマイPCを使用するのを許可されていました。実は現社でもそうですし、それでセキュリティ上のリスクも自分で負っています。

    それはさておき、2133の特徴はメタリックなフレームですが、どうも筐体全体で熱を逃がすという目的もあるようです。そういう意味では本当に戦略的なモデルだなと思いますし、剛性も非常にしっかりしています。某イメージ中心のB5ノートブランドさんの5倍の加重での検査も実際には通っています。まあ工人舎SHシリーズでもそのB5ブランドさんの剛性には並んでいるのですが…プラスティック筐体で。

    そういう意味で世界戦略モデルというものの力を感じますし、その中で日本人特有の趣向というものがどれだけ残るのか、というのは正直難しいし、そういうマーケットになってしまう(農産物と同じで高付加価値、高価格、規格外品が流通しない)のかも知れませんし、それで失うものというのを感じていないのかもしれません。

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