森口氏の報道と、自分が過去経験したことと。

By | 2012/10/18

森口氏に関して「最初にiPS細胞を臨床使用した」とハーバードに「籍を置く」と報道した読売の責任はどこへやら。彼が発表したことに関する嘘を暴く報道に終始していますが、それを暴く必要がどこにあるのでしょうか。
現実問題、虚偽の文献発表だったとしても、医学的にインパクトファクターのほぼ無いものに載っていたり、発表されていたり、査読すらされていないものが大半と見えます。
実際未承認のしかも生体由来材料での臨床研究であれば、今は院内の審査委員会にかけなければならないと思います。それも調べずに報道してしまった。

それではこれを「最初にiPS細胞を臨床使用し」彼が「ハーバードに籍を置く」と報道した読売は何の責任を取ったのでしょうか。
何も取っていません。

10年以上前に経験した話をすこししましょう。
当時在籍していた会社のとある商品の開発において、不祥事がありました。
新聞でも報道されました。
開発の部署は東京にあって、実際状況については理解していましたが、その詳細までを営業部門が知っている筈でもなく、また、支社の管轄外のことでもありました。

そんな中報道当日、会社に1本の電話が鳴りました。
共同通信の記者でした。
実は、その彼は、その商品名すら正確に知りませんでした。
何に使うものかも知りませんでした。
実は記者から発表された当日夜にかかってきたのはその電話1本だけでしたが、それは自分が取りました。
若手だったのにですよ(苦笑)。
まあ、そういう責任を取りたくない上司達にも呆れましたが。
ただただ、広報を通してくださいと繰り返しながらも、何かコメントを取ろうと話してき続ける中、受話器を置きました。

もしここで何かコメントしていれば、どうなったと思います?
「関係者は … と語った」と記事になるんです。
商品名も、用途も知らない記者がそれを記事にする訳です。

今の新聞記事なんてその程度のものなんだなぁ、とそのとき意識を新たにしました。
その後、横手に2,3の事件の状況を見て来ましたが、あまり変わるものではありません。
だれか信用できると勝手に思った人のいうことを、そのまま裏取りもせず書いて、その影響の責任は放棄します、というのが、今の日本のメディアそのものです。

それを何故か小生に求める人が多いんですが(実際、某選手が自分にそれを「人づてに求めてきました」が、それは社内の権力関係を理解せず言ってるだけのことで、彼の認識不足です)自分はあくまでも記者ではなく、一個人です。
なんか不思議なことがありますけどね。

まあ、残念ながら日本のメディアは現状その程度の立ち位置にしかなく、裏取りもせずツイッターなどから記事にしていってお金を(クライアントからにせよ)取るなんて、著作権もなんも無い世界に突入しています。
かくして、世界は安く、猥雑になっていくのでしょうか。

理性が求められる局面ですね。

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