勝敗のみへの興味と、プレーオフシステムの是非について。

By | 2013/10/13

今日のNPB・セントラルリーグ・クライマックスシリーズ 1stラウンドは、広島カープの連勝で勝ち上がり。ただ、広島のレギュラーシーズンの勝率が.500を切っているために、このような評論が。まあ、日本では定番ですが。

日本経済新聞 ダイヤモンドの人間学(広澤克実)
理不尽CS、巨人が負けたら変わるのか

(略)可能性だけで言えば3位同士の日本シリーズがあるのだ。もっと掘り下げれば レギュラーシーズンで勝率5割を切ったチーム同士の日本シリーズもあり得るのだ。こんな制度を我々は支持していいのだろうか、という率直な疑問があるのだ。

2010年のロッテのようにリーグ3位から日本一になったチームも実際にある。しかし、下克上という言葉でかき消されているが、レギュラーシーズンの結果があまりに軽視されていて144試合をする意味すら考えさせられる。(略)

ただ、CSだけなら私が心配しなくても変えられる可能性がある。それには今年、巨人が負けることだ。2位と3位が戦うファーストステージで勝ち上がったチームに巨人が負け、日本シリーズへ行くことができなかった場合、この理不尽さを強烈に訴える人が必ず出てくる。

これについてツイッターにて

と書くと、日本でそういう人が多いのか、と噛みついて来た方がいらっしゃいました。

当方はMLBで25試合、NHLで35試合、NBAで5試合、NFLで10試合位しか観戦経験がありませんが、北米では東海岸にはそういう方が正直多い印象はあります。とはいえ多くの人は干渉しないようにするか、からかっていう位のものです。確かにあまりにも弱いシーズンが続くと見放される傾向があります(そういう話を普通のお客さんとデンバーでしたりしたことはあります)が、どこか気に掛けている傾向はあります。

日本では、ゲーム見に行ったと言えば「試合勝ちました?」と聞かれることが多いのですが、北米では「いいですね、(楽しかったでしょう?)」とのスタンスで聞かれることが多い印象があります。たかだか25回位しか渡航経験の無い当方の経験上の話です。イチローが日本にいた頃に感想を聞くと「ヒットを打ったか打たないか」で判断するお客さんも多くいらっしゃいました。

うーん、なんだか、先日のテニスでの「落胆の歓声」みたいな話ですね。どうしてそういう歓声になるのか、という心理的要因にも繋がっているのだと思います。勝つのを見に行く、というような。

それを期待するのは当然なのですが、勝負とその駆け引きを見に行くのであって、結果を見に行くのではない訳ですよね? スポーツを見ることというのは、そういうものなのでしょうか。

この国では一般の「鏡」でもあるスポーツ紙ですら「勝てば観客が増える」と書きますが、組織内全体では勝率は常に5割です。なのに、勝てば解決する、とリーグ全体のことを考えず、勝ち負けに固執する。その駆け引きのおもしろさを伝えない。

また、勝ちに固執することは、大都市圏のチームに勝たせることが市場が大きくなりますから、そのような不公正が起きやすくなります。市場均衡を図るシステムが小さいか無いのであれば、勝者が大市場チームに固定されやすくなります。

また、プレーオフシステムへの価値観にも繋がる話です。

プレーオフシステムというのは、より多くの方の関心を惹く、ということと、そのプレーオフのアドバンテージ獲得という競争が発生することになります。日本のNPBのクライマックスシリーズは、
1)1位にはセカンドラウンドの1勝のアドバンテージとホームでの興行権
2)2位にはファーストラウンドの興行権
3)3位には出場権
という1位争い以外に、2位、3位争いという多重の競争が起きることになります。
それにより、出だしが悪くとも持ち直せば、優勝争いに加わることができます。5月でもう「消化試合」のようなことはかなり減少しているのだと思います。

もちろん、プレーオフの各ステージ毎のチーム同士1対1での競争、というレギュラーシーズンとは違う競争が発生します。これが2リーグ、日本シリーズのみであれば、リーグ1位争いの2カ所+1カ所の3カ所でしか起きないところが、現行ではレギュラーシーズンでも(3スポットの争い+各ステージの2回)×2リーグ+1回の11カ所で発生します。興行的には有意義です。

無論前後期制で、南海が後期に阪急に対して全敗し、プレーオフで勝利した、などということも存在しました。
とは言え、競争が増えることは、関わるチームや人の数が増えて、競技レベルの向上に繋がるのではないか、という側面もあるように感じます。

しかしより問題なのは、市場の関心だと私は思います。

ただ、最も強いチームを決める方法がそれでいいのか、ということは確かにあります。でも日本シリーズを支持する人には、そうは言い切れません。「日本シリーズ」も立派なプレーオフだからです。出場チームが少ないながら。1リーグ12球団で均等に当てて決めればいい。(でも日程の組み方で、利益不利益は必ず出来ますが)

そもそも、シーズンを通して強いチームを決める、という1つのドラマを追うことが、業界にとって正しいのかどうか、ということもあります。まず全体の内で関心の範囲が狭まる可能性があること。また、プレーオフシステムによって、その1シーズンというストーリーの作り方はいくつかの「ヤマ」が出来ることになって、場面転換が多くなります。そもそも「プレーオフ」とは語彙的には(出場権を決めるにせよ)「やり直して勝者を決める」という意味です。その方法論よりは、プレーオフをやるかやらないかにしか落としどころがないとも言えます。

全体での関心が低くなれば、市場は小さくなり、そのスポーツをしようという人も減っていくでしょう。
それでいいのかどうか、という話です。

そうしなくても、そのスポーツに対する関心が深ければ、例えばサッカーで1部から3部、4部リーグに落ちても、理解して応援してもらえるクラブというのは存在しうるのだと思います。全国でそうであれば、そういう存在も可能でしょう。勝ち負けとは関係のないところで、そのスポーツを愛してもらえるのであれば。

しかし、プロ野球ですら、放送数は減り、テレビの平均視聴率は6%台まで低下しています。

ですから、自分は、この国はそういう寬容なステージには無いと思います。
残念ながら。
それを呼ぶためには、多少キャッチーなことでもせざるを得ないと思います。
ただ、どうするかは、市場のニーズに合わせる必要はあるでしょうけれど。

それに、そのルールはシーズンが始まる前から決まっているのですから、
その決まったルールで勝った方が、「強い」のだと思います。

2 thoughts on “勝敗のみへの興味と、プレーオフシステムの是非について。

  1. Hironobu Koura (@hironobu_k)

    >と書くと、日本でそういう人が多いのか、と噛みついて来た方がいらっしゃいました。

    はい、噛み付いた方(笑)です。

    私が疑問に思っている事は下記の二点のみです。

    1) 「日本で〜多い」というのは本当に日本だけで多いのか。
    2) 1)はNPBの場合制度上の問題によってゲタ履かされている(=不満の出やすいフォーマット)のではないか。

    制度上の違い、さらにポストシーズン(「プレーオフ」と言うと色々障りがあるようなのでやめておきます)の仕組みの歴史(日本は2004年からパリーグ、2007年から両リーグで、MLBは1969年から)も異なる訳で、一概に比較するのは不当だろう、と考えるだけです。

    (というか、私個人としては制度上不満が出やすい仕組みである以上1)については当然だろうなと思ってますが)

    それ以外の点については、元々論評するつもりはないです。

  2. wolfy Post author

    >Koura様

    コメントありがとうございました。
    上記の記載にて当該コメント済みですので、以上をもって回答と替えますので、ご了承ください。

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