不可解な経費を、賃金から差し引かれた人の話。

By | 2009/02/27

某年某月、Aという人がB社より会社がリース契約している業務用車両を借りていたのを、自分の車を使用する代わり、一定の車両と駐車場の使用料を負担してもらえることになったので、その申請を行ない、業務用車両を返却したそうです。

ところが退職時に、その後数ヶ月に渡ってB社が不動産会社との駐車場契約を解約しておらず、その費用を「Aが過剰に受けた便益である」として、退職時に給与等から減額された上、さらに追加で費用を請求された、という事象がありました。

それに加えて、その返金などがあるため、返金しなければ源泉徴収票を発行しない、という常識のない対応をされていました。

このケースについて、相談を受けたので、下のような文章を作成してあげました。

・某年某月以降、B社がAの個人賃貸の会社負担部分の駐車場代を支払っているため、法人契約の解除がその時点で必要であったことをB社が認識しているのは当然である。

・社用駐車場の契約解除申請書の有無が確認されないとB社が主張しているが、それついては、個人車の社用使用に対する駐車場代の会社負担部分の処理があったことにより、申請がされていると解釈するのが通常。また契約解除されるべきであったB社が賃貸していた駐車場はAが使用していない。

・以上より会社から駐車場管理会社への重複して支払っていた金額の債務・債権関係は駐車場管理会社と会社間の問題であり、利用者の責任は発生しない。

・これらについて賃金(給与・退職金を含む)からB社は「債権」が存在するものとして減額し支給しているが、賃金から経費等を自動的に減額できるのは、以下の場合のみ。

1)労働基準法24条による当該減額に関する労使協定がその時点で存在している場合。(被雇用者代表はそれらの内過半以上の代表でなければならない)
2)当該従業員からの自発的相殺請求があった場合。
3)使用者が賃金支払い事務の上で生じる過払賃金の清算の場合

 それ以外の場合、一度全額賃金等を支払ったうえ、対応する必要がある。そうでない場合は労働基準法違反となる。

・また、当該個人契約の駐車場料金の会社負担分について、B社がAに対し減額を行ったと主張する場合でも、それら費用は経費精算用口座に振り込まれていることから少なくとも「経費の過払い」であって賃金の過払いではない。そのため減額は上記理由を満たさないので、不法行為である。

・経費の過払いは上記理由より会社の事務手続きの遅延によるもので、当該個人の責によるものではない。

結論
よって、本件については、B社は、被雇用者Aに対し「給与等から減額した賃金分」に関する債務が存在しているということである。早急に当該分の支払いを行うべきである。

また手続き上の問題で発生した社用車の駐車料金に関する債務債権は、当該駐車場管理会社と会社間で確認すべき問題である。これを過分に被雇用者の責任とすることは、被雇用者Aに対する名誉毀損に該当する可能性がある。

また、この「給与等から減額した賃金」分の債務については、労働者の雇入れが営業のためにする付属的商行為であれば(普通はそうである)商事法定利率の適用になるので年率6%(商法514条)を付して個人に支払うべき性格のものである。(※注:Aは半年前に減額を受けているので、ほぼ3%の利息を付けて受け取ることが必要という意味)

加えて、この債務が賃金に相当するとしても、支払いは平成21年度になるため、確定せずとも現行20年度に支払い済みの金額で源泉徴収票を発行することは可能である。所得税法226条の規定により、源泉徴収票の発行は義務であるため、当該事象が係争中であるとしても、罰則規定(懲役1年、罰金20万)の対象になることを留意されたい。

以上

このせいかどうか、無事4日間ほどで無事、未払いの賃金は支払われ、源泉徴収票も発行されることになったようです。
めでたしめでたし。

…ってあんたの商売って何よ…って言われても知らない(^_^;