医者になった友人と話す、日本の医療の問題等

By | 2004/05/06

高校が世間で言う「いい高校」に行ったお陰か、同級生に医者が十人以上います。GW中に友人たちと集まって飲んだ時に、そのうちの一人がやってきました。聞くと、今は診療を休業中。脳外科と救命を経験していた中、恐らく救命救急時代に浴びた血で、C型肝炎に感染。経緯が特定できないので、労災認定も受けられなかったそう。急性の劇症肝炎で、8ヶ月好きな酒も断ち、今でも投薬を受けているといいます。日本の労災認定の過酷さは、医師にも及ぶのです。

私も仕事で医療には係わっています。日本は医者余りとかメディアは無責任に語っていますが、現場は不足の印象が強いのです。私の業務にももっと係わっていただかないといけないのですが、実際問題無理な状況です。そこで、唐突な問題をぶつけてみました。「なんで日本の医者って、こんなに忙しいやろ?」と。

彼は修羅場になる科にいたので、呼び出しがあれば夜中でも病院に戻りますし、もちろん夜寝ずの対応をしたことも年に両手ではもちろん足りないのは言うまでもありません。「その代わり給料は高かった。けど上がらないんだ。」と言います。その彼、こう答えました。

「アメリカなどでは救急でも時間分業制が徹底してるんだ」
「だいたい、日本はみんな何でも医者にかかるんだよ」

確かに、USではホームドクターの紹介なしに、病院には行けないという分業制になっています。まあ、日本人の場合はそうでもないかも知れませんが、うちの娘も気管支炎での39℃の発熱が売薬で収まらず、電話でアポイントを取って、病院の救急外来に行ったことがあります。ですから、外来ですら、処置室のような場所で行います。ですから、この回答は「予想はしていた」のです。でも時間分業が救急でも徹底、というのは少々新鮮な響きがありました。

確かに普通の風邪では絶対に病院には行きません。まあ、特別な民間保険に入っているような人は別ですが。そういう人が、日本の病院の外来にはたくさんいます。結果的にそのような行為が、本当に病院で治療を受けるべき人の権利を阻害しているのです。でも診察を受ける方はそう思ってはいません。

形だけの分業制が進行しているこの国では、保険財政の形を一時的にしのぐためのパッチだけが当てられ続けています。本質は治ってはいないのです。そろそろバージョンアップが必要なのですが。

でも、その彼は言いました。「やっぱり、脳外科がやりたいんだ」と。忙しくても、得意なんだと、遠回しに自分の能力への自信と、それが今は生かせないジレンマを訴えます。でも、彼は一時考える余裕が出来たことで、方向性を明確にしたのかも知れません。

[AD]


2 thoughts on “医者になった友人と話す、日本の医療の問題等

  1. hamaZaki

    私の場合、自宅近くに所謂『主治医』がいます。
    そのセンセイの紹介で、人間ドックも行っています。医療過誤やら医療関係事故が怖いので...
    おかげで、医療機関での『待ち時間』はそんなにありません。

  2. wolfy

    現在は、専門化が進んだ病院では、初診から予約診療としているケースも出てきましたね。主治医の方がいらっしゃるというのは良いことだと思います。
    私に関しては、自分自身になっているので、あまり良くありませんね(^^;、臨床検査値とにらめっこです。肝機能が少々高い(基準内)程度ですか。体重はお世辞にも軽くはないのですが(妻のコメント注意^^;)でも体脂肪率はさほど問題ないんですよね。
    腫瘍マーカーの検査もしたほうがいいような気がしている昨今です。

Comments are closed.