JR事故;マンション「買い取り」は購入額で良いか。

By | 2005/06/06

不動産購入の経験がないとこういうものか、という気がしてTB。

JR西日本が、4/25の事故により損害を与えたマンション住民に対し、損害を与えたマンションを購入価で買い取ると言う提示に、住民が難色をしめしている、ということ。これについて、自動車でも購入額面以上には買い取ってくれないという見解もあるかとは思いますが…。

まず、自動車の場合は最初の5年で価値が半額になるということ。一方の住宅は、マンションとはいえ、下の土地は等分されるので、地価の価値は例え上物の価値が0になろうと残ること。また、自動車保険の金額は「値引き前」の金額に対してかけるのが通常なので、場合によっては、保険で諸費用までカバーされうるということ。また、自動車には中古でも同等の商品が存在するが、住宅では同等というものは存在しにくいこと。ちなみに住宅にかける損賠(火災)は、通常上物の金額しかかけられないですしね。

特に阪神間では学区による価値差が出ることが多いので、同じ建物であっても、場所が違えば価値が異なる訳で。また子供のいる家庭にとっては子供の転校を伴う転居は家族の大きな負担になる。

また、住宅の場合は住宅ローンを組むにあたって、借入額の2%程度の保証料が必要であるばかりでなく、購入価の3%の仲介手数料、(現在は減税措置が執られるのでほぼ不要とはいえ)不動産取得税など、約10%の諸費用がかかることを見逃してはいけないんじゃないかなぁ。ローンを新規に組まないで、現在のローンを援用して、現金で払って貰ったとしても8%の諸費用がかかる。

実際、物件価は当該住居で最高2,700万(それも100m2近い物件が!)というから、線路際という立地で(騒音のため)安くなっているという側面があるものの、上層階を含めということから言えば、非常に安価な物件であったことが容易に想像が付きます。普通、1階上がれば4~50万高くなるのが、最近のマンションの値付けですから。築2年とはいえ、物件を100%で買い取ったとして、事実上8%の減額がされているのと同じ事。つまり、自分の責任でなく、150~200万を失うことになる計算。たぶん住民の方ですら、そのことをお忘れになっているんじゃないかな、と思いますし。

自分の身に降りかかった時の想像をしてみると、とてもまともな気にはなれないと思います。そして、住宅探しがどれくらいの労力が必要かということも。2年でようやく慣れたその場所での生活を捨てるのですからね。

TB – 夜のパトロール日記 お気持ちは良ぉくわかりますが・・・・

個人的には、それらを含め115~120%程度が誠実な金額だと思います。

#23:55追記

なお、近隣で中古マンションで見ても、築10年でも同様の価格の物件は見つかりません。87m^2で2680万(築10年=地震経験済)ですね。100m^2前後の新築だと安くても3200万程度です。これには理由があって、良くも悪くもJRの過密ダイヤによる利便性で、JR宝塚(福知山)線沿線の人気が上がっており、価格も値頃な物件は、北伊丹までスプロールしないと無い状況です。

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3 thoughts on “JR事故;マンション「買い取り」は購入額で良いか。

  1. おうちがほしい。

    JR事故マンションの補償その3

    昨日、福知山線のJR事故でぶつかったマンションの住民に対してJR西日本からマンション買取案の提示がありました。

  2. 弥生町開発庁長官

    トラバありがとうございました。

    まず私は住宅購入経験はございます。2軒。
    私がJR西日本の新築購入時の価格で買い取るという条件が妥当だと書いたのはマンションの対価という部分での話であり、拙ブログにも書いておりますように事故に関する諸経費雑費などは別に補償されるべきだと思っておりますよ。もちろんマンション買い取り価格とは別に慰謝料なども支払われるでしょうから、やはり新築時の価格で購入と言うのは「満額回答」と言って良いと思います。

    元の生活には戻れないと言うのはその通りですが、時間を逆戻りさせることができない以上、現時点での最良と思われる折り合いを探すべきでしょう。もちろん住民のみなさんが「元の生活を返せ」とおっしゃるお気持ちは良くわかりますが、できないことを要求し続けるのはお互いの為にならないと思いますね。

  3. wolfy

    コメントありがとうございました。おそらく思い通りの物件をお求めになったのでしょうね。おそらくこのマンションの住民は騒音と引き替えに駅から遠いとは言え都心から近く、利便性と広い住居を求めて購入したのでしょうから、そうかんたんではないでしょう。

    それもJR西日本は、諸費用については全く提示しなかったようで、自動車については中古車の算定方式をそのまま使用したとのことです。もちろん諸経費はなしで。慰謝料は個別交渉とのことですが、諸経費すら提示しなかったことは問題であろうと思いますし、慰謝料交渉の過程で住民を分断しようとしていると思われても仕方ないのではないでしょうか。訴訟に訴えても時間ばかりかかり、持てる者に有利な訴訟制度ですから、どちらにせよおそらく被害者の方は疲弊するでしょうね。

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