「アジアのプエルト・リコにようこそ」

By | 2005/06/07

この国の政治家は経済政策を語ろうしない。語っても公共事業などについてのみで、金融政策、為替と連動させた方向性などは明示すらしない、というより与党には特にできやしない。

というのも、基本的に日本の政府与党の政策は ここ(アメリカ大使館ホームページ) に記載されているからだ。要するにアメリカの要望がそのまま政府与党の政策になっているだけ。

つまりは、「No」と言うことをアジアに向けさせているうちに、アメリカの対アジア戦略のまま、日本の規制を「アメリカの利益に合致するように」改革していくことがこの国の最大政策。だから金融政策なんて語れやしない。だって、USの都合で変わるからね。日本の外交政策がアジアの紛争を目立たせているのは、実は対米外交の隠れ蓑でもあって、更に中国は今の日本のアメリカとの関係をTake Overしたい、という意図があるだろうから、余計言いなりになっておかないと、という従属的な関係が更に強まっているように見える。

これではこの国に政策なんてものはなく、事実上、US自治領であるプエルト・リコと全く変わる訳ではない。もっと酷い言い方をすれば、政策決定への直接的な参政権がないのと同じ。いっそ51番目の州になってくれた方がいい。でもそうなれば下院の130の議席が日本のものになるから絶対にしないのは当然だけどね(^^;

そこで絶妙な外交をする能力がないから、町村外相のように脈絡のないコメントを出してしまう人が出てくるのも当然。「軍国主義などない。赤字国債を発行してでもODAをしているから」なんて、金を出せば(軍国主義ではないから)何をしてもいいという発言で、それなら、なぜ湾岸紛争で「金だけは出している」とこの国の政府が主張しなかったのか?簡単で、「アメリカがうんと言わないから。」このどこにこの国の政策決定権があるというのだろう。理念もなにもないのに、単に「アサヒ」や「ヒダリ」をこき下ろす材料として悦に入っている人たちがいる。

この国の自立って何なんだ?と考えれば、両翼に関係なく、この発言は問題視されるべきで、それを賛美する人が多いことに、この国の「ショートサーキット化」を感じずにはおれないんだけども。

問題は、この国がどこまでもアメリカに意見を言えない「パックス・アメリカーナ」の中に入るのか、ある程度の距離をおき、EUにも対等に付き合っていける環境を作るのかどうか。前者がなぜよいのか(簡単だからという理由は理由にならない)ということを含め、議論されるべきであるのだけど、問題を摩り替えているうちに前者が進んでいく。

外交は日中韓だけではないのだが、この3国間だけが大問題のような見方には非常に大きな危惧を覚えるし、そしてそれに対する固執はUSを利するだけと思うのだけど。それでいいなら、どうぞおやりなさい。

小生は日本がアメリカの51番目の州になるなら、賛成するけどね。本気で。

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4 thoughts on “「アジアのプエルト・リコにようこそ」

  1. Teru

    冷戦という、アメリカ政府が在日米軍基地さえ確保できれば、
    日本政府を大目に見ていた前提条件が崩れた時点で、
    次の50年をどうするか、大戦略を練り直さなければならなかったのですが・・・

    今のアメリカ政府は、基地も経済も要求し、さらに欲張りとなっています、
    しかし、アメリカ国内だけに限れば妥当とされる要求ですから、
    日本政府側が、誰の側を向いて政策決定しているかがさらに際立つことに。

  2. Teru

    先日の防衛庁長官と国防長官の会談の報道を聞いて、腰を抜かしたり。

    防衛庁長官が、日本側が軍事負担で最大限努力するから、
    沖縄基地負担軽減を、と要求したのに対し、
    国防長官は、国防費の予算への割合が日米では3倍違う、と反論し赤子の手をひねった模様。

    ところで、賛否あった中、日本政府がイラクに自衛隊を出した本音は何だっけ?
    アメリカの対イラク政策を明示的に支持することで、自国利益に繋げるため、
    という暗黙の了解があるはずでは?

    日本国民を政治目的テロの標的にされるリスクまで負って派遣しておきながら、
    対アメリカ政府要求の交換材料として使わなかったとしたら・・・呆

    仮想敵国と地続きの隣国が、在韓米軍削減を遅らせることと、イラクへの韓国軍派遣で
    世論よりも大局観を優先して取引を成立させた様を見るに、
    戦略眼のない政府はいったいどちらだろう、と。

  3. wolfy

    >Teruさん

    全くもってその通りです。

    領土問題にせよ、日米安保を急いだばかりに、サンフランシスコ講和条約で、日本の領土に関してたとえ部分講和であろうとも明確にすることなく後に禍根を残したことの反省と、後始末を未だもって行っていない。また当時の政権与党を引き継ぐ政党も、アメリカの庇護しか考えていないから、切り貼りを続ける。

    イラクにせよ、アメリカの多数派工作に荷担してあげたのに、何の見返りもない。逆に軍事行動を行わないからと譲歩を求められているのではないか、と勘ぐられても仕方ないくらい。

  4. wolfy

    極論すれば、日本は自らの戦後処理を放置していることが誤りの全てであると言えるのでしょう。
    無条件降伏したのですから、全ての罪をA級戦犯に負わせることで免罪符を得れば良いのに、自ら罪を背負い込む人たちがいます。

    何のために引き延ばしているのか、国益とは何かを考えていないとしか思えません。

    そして国民も、今やあの世代の人たちですら、自分達が巻き込まれた、そうしなければならなかったと責任を転嫁する…

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