戦後60年:思慮深さが消えたのは、軍人かららしい。

By | 2005/07/13

TB元でまさきさんが仰るように「近頃の若いもんは…」と一蹴してしまうのは、自分達を高みに置くことで、その権利があるのか、ということを冷静に考えないといけないとおもうのだけど、よくよく見ていると、今の社会のひずみを高度成長期に取りながら走ってこなかった前世代の責任があることは当然だと思う。(無論、功績もあるけどね)

ただ、このような人を尊重できない日本人っていうのがどこから来たかといえば、元来そうだったようで、明治からあったとは言え、昭和に入ってからの軍人に特に顕著に見ることが出来るようだ。社会統制を進めて、天皇「主権」のような誤解を産む教育に走らせておいて、自分達のしていたことは何かといえば、天皇への上奏に於いて「飲酒の上」望むのが常態化していた、というのだ。どこかの国の議会でも同じようなことを目にしたが(国民に「上奏」する場でだ)、要するに自らの「実質主権」化のために動き、そしてその拠り所を小馬鹿にしていたのだ。そんな軍部は民衆に死んで国を守れと言っていたのが何を表しているのか。(そんなに国に何をしろというのだ、というのも真だろう。さらに悪いのは、今は当時と違って嫌疑のあった当人を嗜めもしないということだ。)

refer – 1928(昭和3)年 張作霖爆殺事件 軍人に馬鹿にされていた昭和天皇

あと、それら戦犯が巣鴨で行った非社会性について
refer – 吉田望事務所 A級戦犯合祀は自らやめるべきである

重光葵は巣鴨プリズンで書いた「重光葵日記」の著者としても有名です。彼は同僚のA級戦犯らの身近な生活態度を、次のように遠慮なく辛辣に描いています。

『日本人の非社会性は、巣鴨(プリズン)では遺憾なく陳列されている。この点では、日本人として考えさせられることが多い。水やパンの事だけではない。何をしても人を押しのけて我勝ちで、風呂に入るのもそうだ。共同に使う清い上がり湯に自分の手拭を突っ込む位は平気で、共同風呂の中で鬚をそったり、石鹸のついた頭を洗ったりして、監視兵に叱られる。無作法に我勝ちに他を押しのけて行く遣り方は、軍人ほどひどい。軍隊生活では斯様に教えてあるのかも知れぬ。廊下でもどこでも、タバコの吸殻を捨てる。ツバキは到る処に吐く。遊歩の時に半裸体になって妙な服装をするのはまだしも、庭の一隅に代り代り行って直ぐ小便をやる。監視兵の顔は、軽蔑の表情にみたされる。こちらは平気である。別に心から無作法と云う訳ではない。結局、日常生活、習慣の上に社会性がないと云う訳である。7、80になって最早や如何することも出来ぬ。然し、更に若いものも大同小異である』


要するに権威というものを持ってしまえば、あとは何をしてもいいというな安易な考え方を日本人が元来持っており、それを戒めなければならない、というのが歴史の教訓だと思う。ただ、それが加速したのは第2次大戦へ日本が進んでいく道程であり、それを実はこの国は経済でも同じように繰り返し、それをアメリカに突かれ、意味も明確でない自己資本比率8%をダシに、延々と「不良」債権処理に時間を費やされる羽目になった。その「不良」債権が出来ていく過程も人にやさしくは無かった…。

そして、この国はこれらの歴史を「自虐史観」として隠そうとしているのだとすれば、何の理由があって?と考えなければならないのだろう。

TB – 思えば遠くへきたもんだ。 7/13 今時の若いもんは・・・・・

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3 thoughts on “戦後60年:思慮深さが消えたのは、軍人かららしい。

  1. Quasimoto

    この問題を見事に論じていたのは、ワールドカップアメリカ大会で優勝し、フランス大会で準優勝した元ブラジル代表主将のドゥンガの『セレソン』(NHK、1998)ですナ。彼は、あなたがいうような日本人の性格を”日本人特有のメンタリティー”と評していますヨ。”相手が弱いと思うと相手をなめる。小事に勝つとすぐに浮かれて油断する。”私も高校生にサッカーを教えているが、だれに教わるわけでもなくこの特徴を高校生みんなが持っているので、これはおそらくDNAの問題でしょうナ。だから、戒めの言葉として昔の人は『勝つと思うな。思えば負けよ。』と歌ったのでしょうナ。

  2. wolfy

    >Quasimotoさん
    彼は確かにそういうことを言うておりましたっけ。日本にはこの種のことわざが絶えないのは、何かに恐れていないとタガが外れるからで、それを知っている者は「逆にタガをはめようとする」のかも知れません。
    「勝ってもかぶっても緒を締めよ」(ママ)とは懐かしい言葉であります。

  3. wolfy

    うーん、誰もつっこまなかったですね。
    下の(ママ)は元WBA J・ウエルター級世界王者の藤猛さんの言葉です。

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