マイレージの功罪

By | 2004/10/01

TB - Letter from Yochomachi : 日経:巨大な“疑似通貨”に成長した航空マイレージ

マイレージというものが「おまけ」に始まっているんですが、実際には今どうなっているのかと言えば、マイレージ発祥の国アメリカでは、その総獲得マイルの50%が既に航空以外による獲得となっていると言います。それではそれらのマイルがどのようにして消費者に与えられているのかと言えば、通常は1マイル=2セント前後で購入して、会社を経由して付与されることになっています。

では、実際にそれだけのコストがかかっているのか?といえばそうではありません。InsideFlyer誌によると、マイレージによる特典航空券のコスト計算はUnitedの場合、平均でわずか$20強(記憶が正しければ$23.71)。アメリカ系のプログラムは大半がアメリカ国内線で消費されますので、それに必要な25,000マイルと平均を考えても、1マイルのコストは実際には0.1セントにもならないのです。恐らく実際での予約枠は業界内の95%割引枠とほぼ同じ扱いでしょう。その費用がどこに行くのかといえば、マーケティング部門の収益となっているようです。

要するにアメリカ系航空会社にとって、マイレージは収益の柱の1つな訳です。

ところが、ANA等が行っているEdyの10,000マイル=10,000円への還元サービスは、これを遥かに上回る還元率となっています。つまり、提携各社との売買レートが交渉により下がれば、完全なコストセンターとなってしまいます。おそらく、トントンか収益悪化要因になっているように思います。競争が激しいのは良いのですが、結果的に本体に影響を及ぼしたりする可能性も否定できないので、今の大手2社の収益を見るに微妙な気持ちになります。

さて、米系に関しては、特典航空券座席を全座席の10%以上をあてがうことよう指導されているそうです。現状各社とも全座席に対する無償航空券客の割合は9%程度までに上昇しており、それが(特に米国内線の)特典航空券が取りにくい理由になっているようです。日本はこれらの規制が無いので、どのように扱っているのかは非常に気になります。

それに加え、TB元のように、マイレージを社員に与えるのが適切なのかという議論があるようですが、これは個人に付与されるものですが、会社が召し上げているという噂話がいろいろと流れます。実際には、法人対法人として、マイルを付与しない航空券を安く販売するなどの方法があるのですが、現実問題としては、発祥のアメリカでは、そのチケットの実際上の価値が低い以上、航空会社を選択できる顧客の誘引手段としては止める理由がないことになります。格安キャリアでさえ、例えばSouthwest(US国内線のみ)では、8回飛べば1回タダというプログラムを実施しています。

アメリカ系のコストの考え方で言えば、例えば、今日系では、大阪-東京を特割で飛んでも片道800マイル程貯まります(チケットレス利用時)。売られる場合のコストで考えれば1600円ですが、実際には160円以下です。機内のコーヒーを有料にしないから不公平だ!リベートだ!って言う人はいないでしょう。とどのつまりは米系との競争ではじめた日系のマイレージが、競争の中で道を失っているだけの話です。まあ、Edyへの還元や、半券2枚でEdyへ1,000円チャージみたいなことがです。

それ以上に、消費者が特典航空券を、格安航空券等と等価に考えてしまっていることの方が問題のような気がします。要するに「おまけみたいな価値」しか実際にはないんですよと。使う方がそう考えていなくても、ということでしょう。

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