私的球団考>B (3:コスト意識)

By | 2004/11/18

この記載は私的な推理、考察が含まれており、そのため全体としての客観的事実と異なる可能性を否定できません。そのため、本球団考はあくまでも事実に基づいた「フィクション」と定義することをお断りします。

3.コスト意識~時代を先取りしすぎたためのアンマッチ

オリックスは球団を譲渡され、運営を始めた時期からコスト意識が強かった。ファールボールの数と回収数をカウント、ということもあるような会社だった。ただ、否定ばかりするわけではなく、当初から、球団は黒字化してビジネスとして運営できる環境を作ろう、という意味であったと考える。だからこそ、コスト管理をしてどれだけできるのか把握したかった、ということの現れであったと思う。しかし、ファンにはウケは悪かった。せこい(ケチ)などの印象を持たれることも珍しくなかった。実際、応援団の方はファールボールを「子供にやれや」といって強奪し与えることもあった。当時はボールをもらえるというのは、パでもやってなかったことであったわけだし。

それは選手に対してにも現れるわけで、年俸がMLBと近づきつつあった当時、MLBでは普通に行われている選手の年間指定席の紹介によるセールスとか、イベント参加を査定に含む、としたことがメディアで軒並み叩かれた。選手がなんで行商せなあかん、のような反応の報道を記憶している。サイン会等のファンサービスをしてくれということも非常に強い選手側からの批判があったことが記事になることも。

また、当時、BWは、神戸移転を機に、メディアとの契約を競らせ、より高額契約を求めた。関西では南海と関係のあった毎日放送が、南海移転で関係がなくなり、より需給バランスが供給よりになった、と球団は判断したこともありましょう。しかしながら、実際には、当初は毎日放送が契約したものの、継続して「相手を探した」ことが、結果的にどこの在阪局も応援放送をしてくれない環境を産むに至ることに。メディアというのは、思った以上におつきあいの世界で、それを見くびったことは、現在でもメディアのこの球団に対する冷たい反応に現れている。


もし仮に今であれば、条件は多少異なっているように感じる。少なくとも、選手のセールス、ファンサービスについてはファンの見る目も厳しくなるであろうし、選手も意識せざるを得ないだろう。しかし、マーケットサイズに合わせた給与ではないし、それを埋めることもすぐに事態を改善させないと思われる。昔から利益が出るようであれば、企業名を外すことは問題ではないと宮内氏が言及していただけに、何をやっても改善せず、優勝してもコストが上がり、赤字が増える構造に辟易としたことは想像に易い。

実際に優勝時の選手の反発は、96年の日本一の特別番組でも、選手の(報酬面が主と思われるが)不満が続出することともなった。

しかしながらコストを意識するがばかりに、ファンへの説明を例えそれを耳にしようとするファンが少なかろうが、十分には行わなかった。日本一の後の三塁守備の名手・馬場敏文選手の放出があったが、馬場選手の獲得に関して、年数の制限や、後にコーチとするための元に戻すという密約があったのかは知るよしもない。しかしながら、その説明の無さに端を発し、中嶋捕手のよく分からないままのMLB志願宣言後のL入りなどのどたばたにつながっていく。

実際、コスト意識が高いがため、FA選手との再契約は選手の希望が無い限り行わなかったチームである。出る者は引き留めない。残酷かも知れないが、マイナーマーケットチームでは当然の事でもある。ただ中嶋選手の場合は、それを理由にチームを試した節もあったように外からは見えた。その行為が誠実であるか、と言う問題は残るだろう。しかし、選手達は中嶋選手の側についていたようだ。一旦日本を離れたニール選手は、復帰後27番を付けるはずだった。中嶋選手の背番号だった。しかしニール選手が拒否した節がある。その証拠は、彼のユニフォームの「背番号」が書かれるはずのタグに「27」という数字が入っていることから読んでとれるのだ。それ位、選手の意識が球団から離れてしまう結果となった。それが正しいかどうかはともかく。

また球団に関しても、それは言える。コストが問題での放出や、若返りをはかるのであればそれを明示すれば良いのだと思う。ただ、それをするには1997,8年は早すぎたのかも知れない。このような合併問題が起こるまで、一般的にファンは経営に無頓着で、「ポケットの深い」オーナーばかりを求めていたことも確かではある。でも、それをさしおいてもファンを大切にするのであれば、きっちりした形での説明がほしかった。そうすれば違う形でのチーム運営は可能であったのだと思う。愚直なまでの誠実さがファンに対しては欲しかった、というのが正直な気持ちとして残っている。あるいは、他のチームの手前「栄養費」のように言えない問題が多すぎた側面はあったのであろう、でもそれをぼかしても、説明することは不可能だったとは思えない。

また、アメリカの4大スポーツであれ、マイナーチームには珍しくない、球団HQと年間席所有者間でのホールミーティングなども行わず、納会参加(これでも特典としては珍しいのではあるが)させることを許すのみというのは、MLBライクな経営をうたっている割には、都合良くバランスを欠いていると言わざるを得ない。チーム経営の上で収入源として欠かせない年間席所有者は株主も同じ、という意識を持てないものか、と常に思う。

マネージメントで何をしようが、事実上スポンサーであるオーナー企業が「大株主」として、それ中心に動くのは仕方が無い側面があるのは理解する。ただ、他の球団と同様に、説明責任をあまりにも果たしていない。これではやはり日本の野球はプロではなく、「社会人野球」の別組織にすぎない、と言わざるを得ないのだ。そうして、理由が明確にされないままの合併へとつながっていくのだ。

TB – own : 1:阪急・小林公平社長
Link – own : 2.球場 – 千葉と神戸。

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3 thoughts on “私的球団考>B (3:コスト意識)

  1. やぎ

    とても楽しく読ませていただいています。
    続き楽しみですが、温めまくっていただいても結構ですのでw
    いや、ほんと、楽しみです。

  2. wolfy

    やぎさん
    過分にありがとうございます。
    書こうと思っているのは、
    4.巨人との距離感
    5.「イチローブーム」の功罪
    6. 合併か消滅か。
    というラインなんですけどね。
    内容もほぼ頭の中ではぼんやり出来ていますが、
    こういうのは筆が進む時に一気に1時間くらいで書いて、校正するので、
    それがいつ出来るかによります。
    もうしばらくお待ちください。
    逆に批判が無いのが気味悪かったりするのですが…。
    (こっそりやってるだけ?)

  3. やぎ

    イチローブームの功罪っすか?!
    めちゃめちゃ期待してまうんですけど!!
    たのしみにしてます~。
    あ、批判つーか意見はするかもしれませんw

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