ニッカン:実数発表の綺麗事。

By | 2004/12/06

ちょっと腹たったなぁ。日刊スポーツの野崎さんのコラム(リンクは12/8まで有効)。


球界全体の大きな流れに乗せるには、各球団が足並をそろえなくてはなりません。
そのひとつが観客動員数の実数発表です。口火を切ったのは楽天でした。楽天の三木谷オーナーが仙台宮城球場の観客動員をメジャーリーグ方式に実数で発表すると表明。ダイエーを買収するソフトバンク孫社長も即座に同調しました。巨人も今年まで空席があるのに判で押したように、5万5000人の発表を繰返していた東京ドームの観客動員を、実数に改める方針を明らかにしました。

日本のプロ球界はこれまで観客動員数は、各球団ごとに適当に発表してきました。スタンドの様子を営業担当者が眺めて、今日は3万2000人とか2万8000人と発表するのです。これでは、球団の収入源である入場料金の正確なデータは得られません。丼勘定と言われる日本の球団経営を象徴するのが、アバウトな観客動員発表に表われていました。

お金を払って野球を観戦したファンの数をひと桁まで正確に調べることは、球団経営の原点であるのに、日本はそれさえ出来ていなかったのです。


ちょっと待った。それこそ球団経営についてちゃんと調べているのか、スポーツ紙のセンスを疑うことになります。すくなくともBWは半券を券種事に分類し、実際にどの券種の入場者がどれくらいいたか、1枚単位でカウントしていました。ある程度の球団はそういうことをしているはずです。(多分Buはしていなかっただろうけど)

そもそも入場者数の「概算発表」は、球団間の面子の問題(甲子園55,000に対し東京ドーム56,000など)と、興行的にメディアが数に単純に「喜ぶ」から、という側面もあったはずです。実際、戦後すぐの頃、甲子園超満員8万、とかいうフレーズをずっと喜んで使いつづけ、しかも、今回の再編騒動の時も、観客が増えた根拠を「球団発表の数字」のみを引用していたのは、誰あろうメディア各社でした。

その責任を放棄して、すべてを球団に被せてしまう。問題の部分的なすりかえです。メディアはそれに乗じてきた責任を感じ、態度に表すべきです。なのに未だにこういう記事を堂々と載せてしまうセンスを疑います。

多分、スポーツメディアには改革の片棒を担ぐことすら無理でしょう。と単純に思わせてくれた「コラム」でした。責任者がこれではダメなんじゃないでしょうか。実数発表は重要ですが、それにより与えられるマイナスイメージをまた過大にメディアは取り上げて、経営者側のみの責任とするのであれば、問題はさらに拡散し、結果的にプロ野球自体の沈下につながるような気がするのですが。

無論、小生は実数発表に賛成であり、観戦記には目視での推定の観客数を記載しています。ただ、それは経営実態を知る以上の性質のものではなく、それのみを取り上げてどうこう、という姿勢は本質の改善にはなりません。それを踏まえて、その状況をどうするか、ということが大事であり、少ないこと自体を批判する、というのはそぐわないと思います。しかし、メディアはその方向でしか論評できないのでしょうけれど。

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