障碍者と飛行機。

By | 2017/06/30

昨日(2017/6/28)辺りから話題になっていた、バニラ・エアの関空ー奄美線での、車椅子の方との搭乗に関するトラブル。

個人的には、その会社とその方のやり方等は、どうでもいいのですが、
日本の航空会社のルールが正しいと定義する方も多く拝見します。
確かに、障碍者の方に対応するには、機器やスタッフが必要であることは確かです。

では、航空ルールを事実上決めているアメリカではどうなのか、
ヨーロッパではどうなのか。
そこをまず知ることが重要ではないか、と思って調べたら、やっぱり違いました。

まずアメリカです。

アメリカの国交省のサイトをご覧いただきます。
(画像は2017/6/29)


(意訳)
・航空会社が障碍に基づき輸送を拒否することはできません。
・搭乗者が「だれであっても」航空保安上の理由であればフライトから降ろすことができます。
・航空会社は障碍のある人からの事前告知を必須としてはいけません。(ただし呼吸補助器や電動車椅子利用者、60席未満の機材は必要)
・航空会社はフライト毎の障碍者の搭乗者数の制限をしてはいけません。
・航空会社は規則で許された安全補助の必要がある場合を除き、障碍者が旅行する際に補助者の帯同を必要としてはいけません。航空会社と搭乗者で補助の要否で意見が分かれた場合は、航空会社は補助者を要求できますが、その運送費用は請求できません。
・航空会社は連邦航空局または外国政府の安全要件順守のためをのぞいては、障碍を理由に特定の座席から除外することができません。連邦航空局の非常口列座席規則は、緊急避難時に一連の機能を実行できる人のみ着席できるとしています。

つまり
・事前告知は不要(特定の機器の利用時や小型機材を除く)
・輸送拒否は非障碍者と同じルール
ということです。

で、基本として障碍者の輸送については航空会社の責任。

そして例えばアメリカのLCCで有名なサウスウエスト航空のオンライン予約を見ると
予約時に障碍情報の入力が可能です。

しかも内容は下のように、車椅子の方で「事前提供が必要」な事項の他に、車椅子のスペースの用意が必要がどうか。チェックインの荷物の料金を2個目から取るだけに、無料が1個増える形になるので、利用者も登録しますよね。

自分の使うアメリカン航空でも同様の登録が「予約時に可能」です。

では、ヨーロッパの場合はどうでしょう?
フィンエアのサイトを見てみます。

すると、こんな記載が目に入ります。

EU内では、お身体の不自由なお客様や移動が困難なお客様の支援は空港の責任です。

お客様が必要とされる場合は、ヘルシンキ空港到着時に介助スタッフがお迎えに参ります。または、ご自身で直接チェックインデスクまでお越しいただくことも可能です。

アメリカとは違い、EUでは「空港の責任」と明示されているのが注目すべきかなと思います。そうなるとLCCかレガシーかは無関係になります。

また、実際にこのページには補助が必要な方への情報として(特にヘルシンキ空港ですが)、
・障碍者専用のチェックインデスクがあり
・搭乗までスタッフが付き添いを行い
・必要があればスタッフが機内でのお手伝いが必要かどうかも尋ねる
というきめの細かさです。

ただ、そのサービスを受けるために
・出発の48時間前までに連絡すること(フィンエアの場合WEB・電話いずれの予約時点でも、専用のフォームでオンラインでも可能)
・出発2時間前までに連絡すれば、ヘルシンキ空港では特定の場所から案内が受けられる
・チェックイン後の手伝いが必要な場合は1時間前までにチェックインデスクまで
というデッドラインがありますが、それにより非常に有利に働きます。

では日本の場合

日本航空でも、

・事前の障碍状況の伝達が必要(デッドラインは記載なし、但しWEB予約時点での伝達は不可)
・身の回りのことが一人では難しい場合、付き添いが必要
・チェックインの目安は国際線2時間、国内線1時間前
・搭乗時・到着時、空港用車椅子の利用可能、小型機材での社員の補助も可能

ANAもほぼ同様に読めます。(時間などは「余裕をもって」ですが)

なぜかPeach、バニラは「5日前まで」、ジェットスタージャパンは「予約時点(電動車いすは48時間以内)」とANA系LCCの2社は「5日前」とスパンが長くとられています。

このLCC3社中ジェットスタージャパンだけは、歩行障害のある方には特別介助は可能としています。

またWEB予約時点で同時に障碍情報の伝達が基本的にできません。

法令上の規定(障碍者差別解消法)での国交省の指針(PDF)の記載でも

「障碍のみを理由に搭乗を拒否することを禁止と想定」しているものの
「必要な合理的配慮を以下のような例で『変更する』ことは可としているが、『拒否』することについて規定していない」など、玉虫色です。

(合理的配慮の提供例として記載のあるものの例示)
・短時間でのストレッチャーの着脱は不可能であるため、ストレッチャー使用者が希望される搭乗便の機材上の前後の便が満席であること理由に、搭乗便の変更を依頼する
・ストレッチャーの取り付け可能な空港が限られているため、搭乗便の変更を依頼する

個人的結論

以上のように受動喫煙防止の状況などと同様に、日本の規定はどこに責任の所在があるかわかりにくく、その結果投げっぱなしで、おかれている状況の具体的改善を現場に求めているという「どこかしかでよく見る光景」の繰り返しです。

一方、米国では航空会社、EUでは空港に責任と明確にし、対応をさせています。
その責任を明確にすることがまず必要と思います。

また事前申告する必要がある事象と、そうでない事象。また後者については申告することで利用者に利益があり、かつ予約と同時に処理ができたり、混雑しているときに待たされる電話ではなく、WEBで処理が完了できる体制があります。

このようなワンストップで、申告する必要をつけるにしても、最小限にするという配慮が日本では薄く感じます。

本質的にはこういうところから、利用のハードルになる部分を軽減していく必要があると思いますが、そうではなく手続き論に終始して、何に困っているか、ではどうシステムとして対応するかということがおざなりで感情的な議論を多く拝見しました。
それは本質的な問題解決を遅らせます。

LCCであっても公共交通機関であり、必要最小限のサービスは誰にとってもそうであるべきで、そこに明確で公示された、かつ利用者により負担の少ない手順と規定が重要に思います。

今回の事象のそれを知って、どうすべきかの検討材料になり、また知らない不便があることをより想像できるようになることが重要だと思います。

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