英国:住宅バブル沈静化へ利上げ。

By | 2004/02/06

金融政策かくあるべし、という印象を持ってしまうのですよね1987~91年の「どこかの国」の金利政策と比較すると。

英国では住宅価格が年2桁パーセンテージで上昇を続け、他の景気指標も予想を上回っている状況だそうで、そのため政策金利を0.25%引き上げ、4.00%としました。個人債務の増加を「引き締める」政策ですね。

金利を上げると、融資を受けようとする人が減り、資金のいわゆる「流動性」を抑え、景気の調整弁とすることができる訳なのですが、当時の中曽根-竹下政権は金利政策において無策でした。資金の過剰流動性が始まった1987年には、地価は3大都市圏・全用途平均で15.0%(東京圏23.8%)と急騰したにもかかわらず、公定歩合を87/2/23に2.50%に引き下げて以来、89/5/31に3.25%に引き上げるまで、実に2年間この金利を放置してきました。

その結果、88年には3大都市圏で43,8%(東京圏65.3%)、89年には12.2%(東京圏は1.8%と沈静化したが、大阪圏では32.1%と地方に波及)、90年には22.1%(東京圏:7.2%, 大阪圏53.9%)の地価上昇を招きました。株式市場についてはご存知の通り。

この後公定歩合は89/10/11に3.75%、89/12/25に4,25%、90/3/20に5.25%、90/8/30に6.00%まで引き上げられたのですが、再利上げ自体のタイミングが遅きに失した感があり、結局更に資金の過剰流動を招きました。(このころ証券会社の「金貯蓄」の金利が7.00%だったことを思い出します。)この遅れたことによって、行き過ぎた過剰流動性を招き、反動も大きくなり、その結果の遅すぎる低金利政策により、公定歩合はほぼ0に近いところとなりました。結果、この国は金利という大きな金融政策の手段を失うという大失態を演じている訳です。そしてこの責任を国民は自民党に取らせてはいないという事実もあります。

英国の対応を見ていると、日本が「先生」になった感もありますが、議会での論議同様、この国の未成熟さが浮き彫りになります。

[AD]