バスケットボールルールの中に「3秒ルール」というものがございます。
相手ゴール下のペイントと呼ばれる、フリースローラインを含む四角形の中に「3秒以上」攻撃側の選手が留まってはいけないというルールですが、なぜか日本では「ボールを持った選手が3秒」などという変な理解がされていることがあります。
実際、Wikipediaに以下のような記載があります。
オフェンス3秒ルール(FIBAルール)
プレーヤーは、ゲームクロックが動いており、自チームがフロントコートでボールコントロールしている間は、相手チームの制限区域内に連続して3秒より長く留まっていることができない。
次の場合はカウントが停止される。
・制限区域を離れようとした場合。
・自らあるいは味方がショットを放った場合
・3秒未満制限区域内にいて、ショットを放つためにドリブルした場合。
・制限区域外に出るためには、両足が制限区域外に着地しなければならない。
ん、ちょっとおかしいんです。これ、実は。
FIBAルールでネットで配布されているのは2012年版になるのですが、それを見てみますとこう書いております。
Art. 26 Three seconds
26.1 Rule26.1.1 A player shall not remain in the opponents’ restricted area for more than three (3) consecutive seconds while his team is in control of a live ball in the frontcourt and
the game clock is running.26.1.2 Allowances must be made for a player who:
• Makes an attempt to leave the restricted area.
• Is in the restricted area when he or his team-mate is in the act of shooting and
the ball is leaving or has just left the player’s hand(s) on the shot for a field goal.
• Dribbles in the restricted area to shoot for a field goal after having been there
for less than three (3) consecutive seconds.26.1.3 To establish himself outside the restricted area, the player must place both feet on the floor outside the restricted area.
ん?この強調部の記載が明らかに違うんです。
「以下のプレーヤーに対して(以下のルールの適用を)免除する」(FIBA)と
「次の場合はカウントが停止される。」(wikipedia)
つまりFIBAルールでは、上のwikipediaでは容認される以下の行為も「3秒バイオレーション」なのです。
・制限区域(ペイント)に入って3秒経とうとしているので、ペイントから出ようとしたが、味方がシュートも打たないのに、結局出ないで居続ける。
・制限区域に入ってシュートしようとドリブルを続けていて3秒を経過したが、結果パスを選択した。
このような場合「カウントを停止する」と3秒にはなりませんが、「適用を除外する条件」であっても、FIBAルールのどこにも「カウントを停止せよ」とは書いていない訳ですから、本来は「3秒ルール」に抵触することになります。
また、ボールを持っている選手が、とはどこにも書いていないので、ボールを持たない選手でも、制限区域の3秒の制限を受けることになります。
加えて、制限区域を出る時は「両足が制限区域の外に着くこと」が条件にありますので、出ようとして、片足が外に付いただけで結果的に制限区域に居続けた場合でも、3秒ルールの制限を受けることになります。出ようとしている場合だけ、バイオレーションとはならないが、出きらないで戻ると3秒は「出ようとしている時間を含めて」継続になります。
さて、ルール文言通りであれば以上のようになりますが、実際の運用で何かありましたら、特に関係者の方、ご教唆いただければと存じます。
実際、2010のJBAルールでは、上のwikipediaの記載の通りの記載がされていたのではないか、ということが検索上の結果では出て参ります。
また、豊田バスケットボール協会が資料(PDF)を出していますが、それによると、
「バスケの試合では、それほど厳密に3秒バイオレーションを取るわけではなく例えば」「プレイヤーがボールを貰う意思が無いというようなプレイに影響を与えない場合は」「取らない事もあります」「そのようにアドバンテージを取る場合もあります」
ということですが、これは「スクリーナーなどでプレーに影響を与える場合は取る必要がある」「アドバンテージという表現をするのであれば、守備側のアドバンテージにより判断されるべきである←(多分これはアドバンテージの意味を間違えています)」ということにもなるのではないかなあ、と思います。