Bリーグになって、
各チームの財務データが毎年公表されることになりましたが、
(2016-2017データ PDF)
出ている項目が面白く、
見方によってはいろいろな分析ができるなあと思い、
今回はグッズに関するクラブ別の状況など見てみることします。
なお、事前にお断りとして
・A東京・三河は12ヶ月分のデータではない
・NBL/NBDLの企業チームは、前年度のチケット売上は計上されていない。
・また項目についてはクラブによって算定の範囲が異なる可能性があるので
「粗い試算」であることをご了解ください。
基本的にはクラブ別の財務状況表の
・物販収入
・グッズ関連経費
を比較します。
チームによると、飲食収入も物販収入に計上する可能性があるので、
その点もご留意ください。
その比較一覧です。
転記ミスがある場合はご勘弁ください。
これを物販収入別に並べてみることにしますと、
実はあまりこれではよくわからないことが多いのです。
関連経費が異常に少ないチームがいくつかありますよね。
ですので関連経費順に並べてみます。
興味深いのは、関連経費が0であったり、
異常に少ないチームがいくつかあります。
これらのチームは物販展開をしていない訳ではありません。
1つあり得るパターンとすれば、
富山・西宮はともに「イン・ザ・ペイント」さんのユニフォームを使用していますが、
グッズも基本的には販売管理を含め移管し、
パーセンテージをチーム提供する形になっているのかな、
と推測できます(聞いたわけじゃないので推測です)。
この場合のリスクとしては、
チームがグッズ展開を管理できるわけではなく、
販売管理を移管している企業様が決定権を持つため
需要予測などにシビアになる可能性があるということですね。
一般的にグッズはロット数(生産個数)と在庫管理が重要になります。
ロット数が多くなれば安く販売できますが、
在庫が積み上がる危険性が高くなります。
少ないと、高くなります。
在庫の危険、というのは、
たとえば低価格販売でおなじみの「しまむら」の在庫は
売上金額の1/10以下(資産(商品)476億/売上高5651億円)。
ユニクロも概ね同じ傾向です。
安売りには商品の回転を多くして、
利益の回転を高める必要があるということです。
商品平均回転日数が30日程度なので、安くできる。
高級傾向が高くなると、
ワールドさんで見れば、223億円/1192億円で、
1/5程度。要するに回転日数が70日位、みたいな感じです。
在庫期間が長いということは
・死に筋サイズ・商品の金額が商品に乗る
・倉庫使用料もタダじゃないんですよ
ということで、商品価格に乗るということです。
そこのリスク費用も含んだ価格になる。
そして、多品種を作るには売れる市場があることも必要になります。
卵か鶏か、みたいなこともありますが、
B1クラブの平均純資産額が5803万円、
平均売上高が6.2億円ということを考えると、
実はまだB1の平均レベルでも
資産を「しまむらレベル」で回転しないと回らない、
ということが事実として存在しているわけです。
(実際に重要なのは純資産ではなく
「キャッシュフロー」(手元現金)ですが、ここでは無視します)
ただ、どこかでそのスパイラルを変える必要はありますけどね。
実際、物販収入とグッズ関連経費の「差」を
それぞれの項目とをプロットしてみると、
こんな感じになります。
物販収入と「差」(利益)の相関係数は0.77と非常に高いもので、
2000万程度を超えると
明確に利益が出る印象がある数字になっています。
上記から、以下のことが示唆できるかなと思います。
・グッズ販売も商品回転期間が必要
・グッズの商品在庫は、チームの純資産もしくはグッズ管理移管などで対応が変わる
・グッズの販売数量が伸びれば、収益が飛躍的に伸び、展開も容易になる
・チームを強くするには観客増→スポンサー増が必要なのと同様なことがグッズ展開でも必要になる。
・なので大きな箱にも人が呼べる態勢は必要。