以前より書いているのは、選手会の戦術のまずさ。今回のストにしても、結果的になぜこんなにまずくなってしまったのか。それに土日だけのストというある意味、ファンを無視する選択になったのか。

一番まずかったのは、実は仮処分申請で、ここで申請を行う際、労働問題と合併を結びつけて仮処分申請を行わざるを得ないだろう、と書きましたが、今回の審理結果を見る限り、雇用問題ではないことをその結果、裁判所が定義してしまったことが重要なのです。選手会は労働組合として認められた、労働者として認められた、と言い張っていますが、これは78年の国会討議上の政府答弁、および85年の都労委認定で既に認められていることで、たとえ個人事業者であっても現実には、企業でも管理者組合が存在するなど、労働者にあることは変わりはないわけです。

機構側も、そうではないとするのであれば、雇用契約ではなく、請負業務契約にすべきです。消費税を払っている云々というのであれば、現在良くあるIT系の請負業務に関しても、それらの企業は消費税を労賃に増して支払う必要があるということになります。(ちなみにこれら企業は=正しいかどうかは無視して=支払っていません)

それら定義されている問題ではなく、合併が雇用問題ではないと定義されてしまった以上、それを、「労使問題である」としてストライキを行うことは、こじつけということになってしまうわけです。企業として被雇用者の経営参画について定義していない中での「経営への関与」を求め、しかも重大な決定への参画ということを考え合わせると、余計そうなってしまいます。

仮に裁判所の審理がなければ、未定義の事象であるので、別個裁判で明確にされる問題でありましょうし、過去の判断の有無を重視する役所ですので、多少は有利に進んだかも知れません。しかし、一旦判断は下されています。それ以上に、以前からのべているように、日本の裁判所は「公序良俗」を重要視します。要するに、これから企業合併が起こる度に、ストライキを当該企業の組合が実施することを社会として容認するのか、という問題につながってくるわけです。

結果的に、選手会がストライキを行うことは、大きな代償を選手会自身支払わなければならない、という結論が見えてきます。それ以上に、1年の凍結というのであれば、現実問題として、現時点で選手会が言う「命名権」を40億で買ってくれる企業を、選手会自身で探してきている必要があります。参入したい企業があると聞いているという「希望的観測」ではだめです。それに加えて、1年遅れることによって、BWに与える損失をも選手会は補填しなければならなくなります(10億程度)。その協議も今日からされることになるでしょうが、いずれにせよ選手会の提案も「子供」レベルで、一次的な帳尻を合わせたものでしかないことは、実現可能かをも含めて、肝に銘じることが必要です。

さらに、この土日ストで、私のような合併当事者球団のファンに、ホームでお別れを言うチャンスを失う可能性すらある、ということを選手会は考えてはくれなかったようです。やはり彼らが言う「ファン」は、パリーグやマイナーチームのファンを考えてはいない、ということを訴求せざるを得ません。

それにストをしたから、代替として「ファンサービス」を行うというのも、レベルが低い話で、今まで何も迷惑かけてなかったから、MLB選手に比べても、大してしてこなかったそれらの行為を、「だから行う」という彼らの見識も情けなくあります。「ファンサービス」は「当たり前」のことの筈ですが。

情けなくなってきます。

投稿者 wolfy