選手会は、本日東京高裁が下した裁定についてコメントしていますが、あまりにも酷く、自分たちも「不断の努力」をし、「誠実に交渉」する義務があると述べられているのをすっかりお忘れのようです。
選手会ステートメントより
【東京高裁の判断内容】
1. 選手会が労働組合であり、NPBに対して団体交渉権を有していること
2. 本件近鉄オリックス球団の統合に伴う労働条件に関する事項が、NPBが労働組合である選手会と誠実に団体交渉を行わなければならない義務的団体交渉事項に該当すること
3. 本件近鉄オリックス球団の統合自体についても、労働条件に係る部分は、NPBが労働組合である選手会と誠実に団体交渉を行わなければならない義務的団体交渉事項に該当すること
特に3.については、地裁の判断より義務的団体交渉事項を広げた判断がなされています。 したがいまして、今までNPBが選手会を労働組合として認めないなどとして、団体交渉を認めない姿勢をとってきたことは許されないことになります
違います。高裁の決定(原文)にはこのような前提があるのを、意図的に選手会は抜いています。
・連盟は「応急措置」および「救済措置」において規定している支配下選手の拡大に関する議決を行っていないため、義務的団体交渉権が存在する。
と認めているに過ぎないのです。要するにオーナー会議等で議決をすればおしまいです。
また選手会は、
1)NPBがこれまでに応じてきた交渉等が誠実さを欠いていたことは否定することが出来ない
2)NPBが応じるというという9日からの交渉の法的性格等にも疑問の余地がある(つまり裁判官は誠実に行われるか疑問もあると指摘しています)
と引用していますが、決定文では以下のように書いているに過ぎないのです。
・連盟側が、団体交渉に応じていた事実を認めた。(選手会は、交渉委員会を団体交渉とは認めていなかった)
・地裁決定以降、選手会が同じ要求を続けていることのみを根拠に、そのように「否定することは出来ない」と記載している。(実は肯定もしていない)
また選手会の告知しているストライキを不当目的の違法ストライキであるという指摘も認められないこととなります。そのような意味で、今後実施される可能性があるストライキとの関係で、球団からの損害賠償が認められないことが明確に判断されたものと考えております。
これについては全く触れられていないにもかかわらず、このように記載することは全くの誤謬です。ストライキの正当性について裁判所の判断を仰ぐためには、仮処分申請自体にストライキについて触れる必要がありますが、ここではそれに対する内容には全く触れていないのです。勝手な判断にもほどがあります。法律について無知な顧問弁護士がいるとしか思えません。
本文中には選手会にも誠実に「不断の努力」を行うこと、と提議していることを選手会(もちろん機構も)は認識していただかないといけませんし、そうでないと困るのですが、それを頭に置いて、私は選手会が本気で交渉に応じるのかは、明日からの交渉を注視することにします。