とりあえず、ストは回避されましたが、合意事項(毎日)を見ると、機構側が譲歩したその対価として、2日間のスト中止という結論に至ったように見えます。

1年の更なる合併はなく、球団が増える余地(…ではないけど)を残し、ドラフト・年俸問題を協議する構造改革協議会を作り、現状の球団の保有価値を事実上無価値にする、加盟料・参加料の廃止など。で、合併自体を1年延期できるか検討し回答する、というものですが、その後の古田さんの回答に、やっぱり安易な印象を持ってしまいました。

「(経営側が)交流試合を入れてシミュレーションし、大阪に近鉄を残せる可能性を探していただけるということなので、この2日間にスト決行はできないと判断した」

-球団存続は無理という再回答ならストは。
「行うかどうかは別として、前向きな希望になることを祈りたい」(
ニッカン

要求の要旨は、合併凍結ではなく回避であることを示唆していますし、それが満たせないとストであるということを明示した回答であると思います。そこには費用面を誰が負担するかという議論、自分達が市場価値以上の給与をもらっているという事実は「その後」に協議する、という内容で、自分達は「後送り」、人には「先に要求する」。結果、その後送りにした事項が「不履行」になる可能性も大きいように思います。

基本的に、マーケットサイズに合わせればどういうことが起こるかと言えば、それはまちがいなく、より多くの日本人選手のMLB移籍が進み、MLBにいるだけで、1打席ヒットを打てば、パの試合結果より詳しく報道されるという状況を加速させるのです。小林至さん(元マリーンズ)のように(最近国粋主義的な発言もあるので、割り引いて考える必要があると私は思いますが)、”大家投手のように、日本で活躍できなかった選手がメジャーで活躍しても、大きく取り上げる、アメリカびいきの思考が日本人にはある”というのも、ある側面一理あって、それはファンが作る球場の雰囲気とか、ロードの選手でもいいプレーには拍手をしたりとかいう、みんなで球団が作る球場の雰囲気を盛り上げる環境が「楽しそうに見える」という事実が背景にあるような気がします。

しかし、MLBの日本公式戦では、どう声を上げていいのかうろたえる観客ばかり。自発的でない国民性が、「楽しくないプロ野球」を作っている側面があるのではないか、ということも考えてみるといいでしょう。一方で、経営側・選手会は、どうすれば、観客がディズニーランドのように参加してくれるのか、ということをあまりにもおざなりにしている、というのも事実で、結果、選手会も新規参入について「企業の参入」と、自らの収入を維持するためのパトロンを期待しているに過ぎない回答を安直にしてしまうのでしょう。

今週のNewsweek日本版には、このような点から、日本プロ野球が生き残る道は、MLBに吸収されるしかない、と結論付けていますが、MLBとNPBと国際ルールだけでもかなり規則の運用が異なっています。要するに日本とMLBでの活躍には大きな意味での正の相関があるでしょうが、ある程度それに合致しない選手がいるという事実をそこで生んでいるように思うのです。

それをどのようにファンがとらまえていくのか、ということも、NPBという形での発展を支える点でかなり大きい位置をしめると思うのです。で、今はそれがないまま、やみくもに選手会のみを応援しているような環境に、より大きな衰退の予兆を感じてしまうのです。

#9/11 08:00 被TB先1件追記
#9/12 10:25 被TB先4件追記

最近、スパム的な、とりあえずビュー数上げとけ、的なTBが多いので、あ、発想が「ライブドア」と同じ、とか思ってしまうんだけど…

その内で賛同するものだけ特記。

むらいブログ 「プロ野球改革に関する議論を自分なりに整理

本当に日本の競技人口などからトップリーグのサイズとして、12球団が妥当なのかと言う議論が別に行われなければならない。実際、ここ数年20点以上得点が入る試合が増えてきている。(snip)つまるところ、「質の確保」と「競技人口の確保」ということになる。誰でも大学に入れるようになれば、とりあえず大学を目指す人は増えるだろう。しかし、トップレベルには相応の研究の質が求められるのと同様に、ハイレベルのプレーが期待される。分数の出来ない東大生はいらないのと同様、下手なトップリーグの選手は要らないのだ。それを両立するには、全体の大学数は増やすが、東大の定員は絞っていくというのがスタンダードな方法だろう。

投稿者 wolfy

「選手会:スト回避も強硬。」に5件のコメントがあります
  1. 11、12日のストは回避

    プロ野球の再編問題をめぐる労働組合・日本プロ野球選手会と経営者側代表の労使協議は10日、双方が最終的な妥協点には到達しなかったが、選手会は予告していたストライキのうち11、12日については回避することを決めた。

  2. プロ野球 11.12日のスト回避!!

    選手会の粘り腰が利いたか、それとも高裁が釘をさしたのが利いたのか…
    ともかくも2日間だけでも回避はめでたい。
    読売新聞によると、
    ・連盟加盟料、参加料の撤廃は決定
    ・近鉄、オリックスの合併撤回についてはNPBが再検討、再回答。
     ⇒場合によっては1年延期もあ

  3. 老害追放!堀江社長が叫ぶ理由

    ネットトレーダーにお馴染みの?早見雄二郎が吠える!
    独自の観点からの経済情勢の解説や銘柄分析に定評がある(と俺は思う)が、
    今回は球界再編問題を取り上げている。
    全国に広げていきましょう、というラジオ番組では発言出来ないであろう
    早見氏の熱意に対して全文

  4. プロ野球改革に関する議論を自分なりに整理

     さて、プロ野球選手会のストが回避されたわけだが、色々と疑問が沸いてきた。

  5. 僕がライブドア買収に賛同できない最大の理由

    さて、前回のブログで、「堀江社長には本質的なところで賛同できない」と書きましたが、その理由を書くべきかなと思い、書きます。

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