合併球団の球団名に関する意見もいろいろ目にする今週ですが、まあ、こんな状況ですから、なにやっても賛成されないでしょう。何が問題かを切り分けるでもなく、決まったこと全体に文句を言い続けても始まりません。それに「ファン」が言っていることがいつでも正しい訳でもありません。こういう場合は「少し引いて」考えてみるべきでしょう。
以前のエントリーにも書きましたが、「ブレーブス」と言う名前は、(調べ直したところ、以前の7件ではなく)13件の商標登録がされていることがわかりました。この13件は阪急共栄物産が現在も保有しています。それでは、何故、今でも保有している必要があるか、ということです。驚くべきことに「オリックス・ブレーブス」に関しては商標の登録すら行われていませんでした。興行に関しての商標すら。
これが何を示すか。要するに阪急は「ブレーブス」の名前は実際には譲渡しなかったのではないでしょうか。これには創始者の小林家の事情が絡みます。小林公平氏は所謂「娘婿」で社長に就任。小林家のそれまでの沿線の繁栄が鉄道の繁栄という考え方から、自分の存在感を出すためか、不動産開発に力を注ぎ始めます。ブレーブスが譲渡されたのも、時期を同じくして起こったバブルとの関連もあり、西宮球場の再開発が直後に計画されていたなどということもあったようです。そんな会社が、強かったとは言え不人気球団を持っていた、と言う事実を消してしまいたいということもあったのでしょう。今年、公平氏が失脚するまで、阪急の歴史からは意図的にブレーブスが小さく、時には抹消されていたことすらありました。「西宮球場落成。球団保有。」というような。
要するに、現球団は、名称・本拠の使用を拒絶されており、表向き、継続するという表現が必要だった。また、他の都市が求めているから、それに伴い名前を変更する、という流れがこの時既に出来ていたのです。それが、BWは神戸市民にとって「与えられた球団で、自ら得た球団ではない」と私が述べている理由です。
今回の合併後の名称については、現状のBWとBuのファンの数の差(相互のアウェーのファン数で顕著です)および大毎・高橋の合併のケースなどを参照したということもあるでしょうが、それ以上に阪急がそうしたように、封建的な鉄道企業という環境にあって、名称が存続することによる「メンツ」を優先させた、というのがが正直なところような気がします。要するに、最終的に商標権を近鉄がオリックスに譲るのか、という事が、今後も名称を使い続けるのか、ということになるでしょう。
しかしながら、マーケティング側面を軽視しているということは指摘せざるを得ません。少なくともBWファンは、当初は(球場と)名称が継続するのであれば容認、という姿勢が少なくありませんでした。しかしBuファンには「近鉄」が無くなることの方が重要でした。この違いをあまりにも軽視しているように思います。むしろ数的に不足しているのでやり直す、ということであれば、初めから新名称にしておいた方が良かったように思います。時代の流れは速くなっており、それにも増して、一旦世間の目が懐疑的になれば、事実はどうあれ、それを直すのは並大抵の努力ではありません。それを例えば3年かけて新名称にする、等のように、ゆっくりしていていいのだろうか、と言う気がするのです。
以上が私の名称問題を巡る考察です。
確かにこの問題は、合併球団は批判されるべき問題ですが、それと混同して他社が批判されるべき問題もあり、切り分ける必要があるように思います。
例えば、ブレーブスを返して欲しくば、阪急電鉄本社に行き、共栄物産に圧力をかけさせて、無償での商標権譲渡に同意させることのように。少なくとも、公平氏の「退場」以降、阪急はブレーブスの扱いを変えつつあるようですので。それに関する署名なら、10万程度でもメディアへのアピール度は満点でしょうしね。私もそれならサインしようと思うのですが。彼らにとっても、甘く、せつない思いがあるというのは事実のようです。それを表だって意見すら出来無くさせるのも、日本の会社の体質でもあるのですが。
「新球団名を巡る考察」に2件のコメントがあります
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たしかに
「近鉄ブルーウェーブ」の方が双方のファン心理はまだ穏やかだったでしょうね。不可能でしょうが。
阪急から権利譲渡を受け「大阪ブレーブス」「オリックスブレーブス」とすればかなりイメージを回復できるでしょう。
いっそ全然引きずってない名称の方が、格好はいいです。
>やぎさん
その辺、本当に何とかして欲しいですね。というより、2年前にBWが私を雇ってくれていればね…(苦笑)。