スカイマークの掲示ポリシーと、航空「幻想」と。

By | 2012/06/05

5月下旬からサービスコンセプトして掲示され始めたスカイマークの「断り書き」が話題になっています。

本日5日、東京都消費者生活センターがクレームするとニュースになりました(毎日)。業務の妨害になっていればやむを得ないと思いますが、4日時点でこの件に関する苦情はわずかに1件だったとのこと。

行きすぎというかなんというか。

そういえば、飛行機に乗る時に時に上級会員用のラウンジに行くと、未だに1950年代の飛行機に乗る時のような衣装の方を見かけます。未だに飛行機は上流階級の乗り物かのように思っている人も少なくはないと感じます。ただ、現実にはそうではないのでは?。

1980年代終盤に入って、航空自由化の流れが来て、それまで東京に行くのは新幹線という頭しかなかった自分には衝撃的でした。日本エアシステム(現在はJALに統合)が前日割引で積極的な運賃展開をし、新幹線の13,500円前後を大きく下回る9,000円~11,000円という価格を提示するようになり、その料金と軽食の出る便を狙い撃ちにして飛行機に乗るようになりました。

それまでは確か往復で片道15,000円ほどする価格しか無かったように記憶していますが。それ以来、ほとんど新幹線を使わなくなりました。

その前後で国内線の客層が次第に変わってきたと思います。
1992年にのぞみ300系を導入したのも、JRの航空便対策があったように記憶しています。
単なる乗り物になった時期かなと。

それでも、スーパーシートは別の世界でした。
ところがJALがスーパーシートを全廃して流れが変わります。ANAが一時特定便で実施し、失敗したにも関わらず、JALは上位クラスの大衆化を実施して、上位顧客を失った記憶があります。ファーストクラスには未だに世界観の違う方を見かけますが、当時よりは相当少なくなったものだと感じます。

結局、新幹線のEX-IC割引、また燃料費上昇が航空にはマイナスに働きましたが、それはまた別の話として。

さて、その大衆化の流れがあるのに、未だにキャピンアテンダントをホステス感覚で使う方が「上位クラス」程多いのには辟易します。ファースト/スーパーシートならサービスに含んでいるのでともかく、クラスJや一般席でも見かけます。例えばジャケットを預かれだとか、出発時間間際に大きいキャリーオン持参で走りもせず搭乗して、荷物が入らないから(足下に置く気は毛頭もない)預託荷物ではなく預かれというような方々。キャリーオンは原則乗客が責任を持たなければならない規定になっている訳で、しかしながら自分が障害があるわけでもない、4,50代の元気そうな男性に限って、そういう方をよくいらっしゃる。

とても不思議な気がします。
ベンツには上品に乗る物だという考えが、品行一致としてはあると思いますが、この国では違ったりしますね(苦笑)。まあ、アメリカでもBMWには良く有る光景だけれども、それに乗っているから「偉そうにしても良い」「ルールを破ってもいい」という行為をまあ良くみかけます。

それにとてもよく似ています。

さて、上記のスカイマークの「断り書き」については自分はこう思います。

1. そもそもキャリーオンは乗客の責任の下持ち込むものなので、収納は乗客の責任である。オーバーヘッドビンは共有の場所なので、自発的に譲り合うものであって、無い場合は足下に置くことを承知で持ち込むものである。また、女性など弱者については他の乗客が手助けするもので、FAが触って何かあった場合、乗客の責任原則が壊れ、特定の乗客のみに有利なサービスが行われることになる。その責任を放棄もせず、FAにはなから「何とかしろ」という態度はおかしいと思う。米国国内便ではそれが普通で、約款上も適当である。

2. 言葉使いについては最低限守れば良く、レガシーキャリアと同じである必要はない。その言葉遣いが過剰なサービスを惹起している面があると思う。

3.4.5. 上記と同じで日本の大手2社の過剰な言葉遣いから惹起される、「期待される過剰なサービス」の排除には有効であると思う。

6. 実際、なんとかしろというのは日本人くらいだから、日本人に注意するのは当然だと思う。こどもを育てる苦労と、こどもを連れて旅行する権利を育む気は、多くの日本人には無い。ただ、注意すべきは「泣くこと」のみの注意であって、機内での振る舞いは「親の責任」であるのは、どこの国でも概ね同じである。(ファミレスのような食事の場でこどもが走り回る国は自分が行った15カ国くらいの中では日本くらいしかない)

7. 法令上の取り決めを述べているだけに過ぎない。相違が有る場合の確認をしないでどちらが正しいか明示しているだけである。

8. 機内で苦情を言っても解決しないことが多いので、適切であると思うが、対案を主張することは妨げては居ないと思う。(空席マターでの座席移動とか、そういうことは否定していない)。

ということで、また「義務付けない=しない」ということではないことにも留意すべきです。

その前提条件を考えた上で使うか使わないかを決めるのは、利用者次第だと思います。ただ、留意して欲しいのはスカイマークは成田便以外は「LCC」ではない(運休などの場合は代替の移動手段を提供する措置を執るなど、逆に成田便はLCC扱いすべき)ことがあります。その点では不満があるかも知れない。ただ、正規運賃でも大手2社の1/2以下~7割程度の運賃であることも考慮すべきだと思います。

そのサービスと価格の差異を考えたくない、あるいはそういう心配をしたくない、勉強し適切なサービスを利用することをしたくない…

またはこの人のように、「人をコーチングする」自分の職の否定になるので否定したい人(ここ)もいらっしゃって当然かと思います。(ただこのような方は低賃金に対し高付加価値労働を求め、結果的に労働価値を切り下げる可能性もありますが…)

そういう方に向いていないことは確かです。

航空に対して過去の印象を押しつけている人達もそこに居ることを忘れてはいけません。

もうサービスを選ぶ時代に来ているということだけが、確かな事だと思います。

※ただオチもあって、自分はこれ以前のサービスに嫌気がさしていて、この会社は「最終選択」になっています。

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