IBFルールを知らず批判する、日本のメディア

By | 2013/12/04

昨日のボクシング IBFスーパーフライ/WBAジュニアバンタム級(←正確にはこう言います)王座統一戦は、前日計量で、WBA王者のソリスが、1.1kg超過で「失格」。当日計量でもリミットを7kgも超える(IBFルールでは当日はリミット+4.536kg以内に抑えないといけない)という試合になり、グローブハンデ(超過した方が90~180g重いグローブを付けて試合する)ということもなく、実施されました。

結果は 2-1の判定で、「前」WBA王者のソリスが、IBF王者の亀田大毅を下しました。しかし、日本語のアナウンスが112-114(実際には112-116)と誤読したり、英語のリングアナウンサーだけが「retains the IBF title」(IBF王座を維持)と場内アナウンスするなど混乱していました。

前日に報道されたのは、亀田大毅が負けた場合は「IBF王座は空位」とのことでした。日本の報道はこれ一色でした。
しかしながら、アメリカESPNの報道はこういうものでした。

Solis and Kameda are due to meet Tuesday at the Bodymaker Colosseum in Osaka, Japan, Kameda’s hometown, but Solis can no longer win either title. If Kameda wins, he will add the now-vacant belt to his collection.

亀田が勝った場合はベルトコレクションが増える。のみです。

実際試合後、FightNews(アメリカ)は試合終了後10分程度で、大毅のIBF王座を保持を伝えています。

なぜかというと、実はIBFルールでは、挑戦者が体重超過となった場合、王者が負けた場合でも「王座は失わないこと」が明記されているのです。(当日計量も同じです)

IBF/USBA RULES GOVERNING CHAMPIONSHIP CONTESTS (PDF)

    1.A. Timing of Initial Weigh-In

2. Challenger’s Failure to Make Weight
If the Champion makes the weight and the Challenger fails to do so, the fight may be staged with the understanding that the Champion will retain his title whether he wins or loses the bout.

1.A.前日計量の時期
2. 挑戦者が計量で失格となった場合
 王者が計量で合格となり、挑戦者が失格となった場合、王者は勝敗に関わらず、王座は保持されるという了解の下、試合は行われる。

なのに日本のメディアは

理解不能IBFの説明=疑問だらけの「統一戦」-ボクシング・トリプル世界戦(時事)
「大毅が負けても王座に」IBF、ルールを突如翻す/BOX(サンケイスポーツ)

などのようにIBFに批判を向ける始末。記者会見できっちり聞けていたのか判別ができないのですが、このような場合はあくまでも、IBFの関係者の見解を確認する必要があるのですが、そこで英語で確認できていたのか、という問題もあります。

少なくとも、英語のリングアナウンサーは「防衛」とアナウンスしていたのですから、その段階で気づいていない時点で、重大な事実誤認がどこから起こったのか考える必要があるでしょう。

また、メディアが伝えることは、必ずしも正しくはないということです。

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