あ、統一・統合と言ってもボクシングじゃないですよ。バスケットの話。まあ、ヘッダはボクシングにしてしまいましたけれど(苦笑)。
何回も出ているので食傷気味な方もいるかも知れないけれど、以前からあるNBL・ナショナルバスケットボールリーグ(昨季までJBL)と、bjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)の統合の話。
一応ご存じと思いますが、歴史をひもときますと…
元々は日本リーグのプロ化の話があるのがなかなか進まずに、FIBA世界選手権の日本開催(2006年)が近づいてた2004年に、プロ化を進めるという意味で、日本リーグの2チームが離脱してできたのがbjリーグで、2005年秋から6チームで旗揚げ。一応現存は22チーム(1チーム休止中)。一方、日本リーグはJBLに改組したもののプロ化に失敗。で、FIBA世界選手権も興行的に失敗し、2010年に日本バスケットボール協会(JBA・当時はJABBA)がbjリーグを公式に認可することを表明して4月に書面を交わします
そして2013年秋からNBLとしてJBLを改組しますよ、と言い話し合いで統合を目指しますが、実際には話し合いは進まずbjから1チームがNBLに転籍したのみで、新規チーム入れ計12、下部リーグNBDL9チームの21チームでNBLは発足するわけです。
で、NBLは2015年秋からのP化(当初はプロフィットと言ってましたが、実際には当初からというか、13年夏からは明確にプロ化のような気が…気のせいかも知れないけど)を目標にしてきていて、実際時間がかかって2014/2のJBA理事会で2016-17シーズンからのプロ化リーグを認めた、というのが流れです。
実際、これまでの流れで、JBA/NBLサイドとbjサイドのリーグ協議の回数の問題はあったということがツイッターで関係者自身が語っていますし、2014/2の理事会での承認の連絡も突発的だったとの主張があります。ただ、自分のところですらその決定がされることが10日くらい前に漏れている状況で、bjリーグ側に何の情報も行っていないということは考えにくいですし、一部には事前に状況説明がされたのではないかという話も噂レベルでは耳に入ってます。
で、実際昨年からFIBAの次期会長と言われるバウマン氏が、2013年末に来日した際にも統合の必要性を指摘しています。この時点では統合ができない場合は「2020年東京五輪開催国枠を与えない」ということの方が話題になりました(ニュース)。
2014年4月22日の来日時に、進展がなければ2014年10月末期限で国際試合を禁止するなどの措置を講じると、14日の理事会で伝えられたことからニュースになりました。しかし、実際には、昨年末の先に書いた来日時には既に「2014年6月にも制裁」と朝日が伝えているので、状況を勘案したのか少し伸びています。ただ実施されたケースはフィリピンやレバノンでもあり、された場合は性別・カテゴリ無関係で交流が禁止されます。これはゆゆしきことです。
ここで、問題点として、FIBAが指摘していることは報道から以下のようです。
・2リーグの「並立」ではなく、「垂直的統合」 … ピラミッド型の能力別編成 あるいは 統一
・実業団ではなく「プロ化」 … プロ化によって競争が発生する
例えば、
2リーグが並立する場合、それぞれのリーグの移籍規定が異なるなどした場合、選手の入れ替えが難しくなり、能力に応じたレベルのチーム、出場機会の確保が難しくなります。
また、会社員とすることによって移籍が難しくなり、上記の能力に応じた移動が難しくなります。
逆説的に言えば、
2リーグが並立しても、移籍規定を共有化して、リーグ間・チーム間の移動を容易にする。
会社員であっても、リーグ在籍期間は出向として他チームへの移籍を許す(給与は他在籍チームが支払うが、社会保障面は所属会社が支払うなど方法はいろいろ)。
という方法があれば移行措置あるいは緩和策になるということでもあります。
ただ、実際には複数年契約が禁止されていた(2014年オフから複数年解禁)bjリーグでも、実際にはそういう契約があったり、他リーグへの移籍を制限する付帯契約を結ばせているケースもあるといいます。
そういう選手の流動化と、能力に合った移籍を促進することをどうしていくかです。
収益をあげるという問題については、FIBAは先に挙げた記事にもあるように、問題として上げていますが、ここでは割愛します。
ルールの問題については、FIBAは独自ルールについてはFIBAのボードの承認を受けることを求めていて、NBAには言えないにせよ、オフェンスリバウンドでの14秒リセットルールなどスペイン等で先行実施されていた件については、実際に2015年4月から世界標準で実施されますし、韓国のディフェンス3秒については撤廃されたと聞いています。(誤解があればお教えください)基本的にはFIBAが将来の試行として組み入れができるか検討に値する内容かどうか、ということが承認を受けることができるルールなのではないかと思います。
それでは実際、仮に統合するのであればどういう問題があるか、ファンとして見てきた感覚で書いてみます。
相互間の問題
・NBL1.5億、NBDL1億、bj6800万円のチームサラリーキャップ(ただしフルに使うチームはどのリーグも限られている)
・外国籍選手の問題(NBL来季より1-2-1-2・保有3、NBDLはオール1、bjは現行は2-3-2-3・保有4)
・法人格の違いの問題
・(能力別に段階編成する場合は)1部・2部の振り分け方法と入れ替え方法。
実はこの中で大きなのは、統合という1点を考えれば法人格の違いです。NBLは一般社団法人、bjは株式会社です。
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」には以下の事項があります。
第五章 合併 第一節 通則 (合併の制限)
第二百四十三条 次の各号に掲げる場合には、合併後存続する一般社団法人若しくは一般財団法人又は合併により設立する一般社団法人若しくは一般財団法人は、それぞれ当該各号に定める種類の法人でなければならない。
一 合併をする法人が一般社団法人のみである場合 一般社団法人
つまり、法人格としての合併は不可能ということです。どちらかが事実上解散する必要があります。そうなると、仮にbjリーグを解散する場合は、債権債務処理が不可避になります。適時情報が開示されていませんが、公表資料によると資本金は9.95億円(2013/10… 9.06億@2010/6)、純資産は1.45億円(2010/6)ということのようです。NBLを法人として解散する場合も基金に関する措置が必要になります。
ただ、bjリーグチームも最近は事業として関連会社を租税措置などの理由で一般社団法人にするケースも多くありますし、一時大分を運営したbjのテンポラリーオペレーションは一般社法ですから、そのあたりについてはbj側は理解されていることだと思います。ただ、両リーグのどちらかを1部、他方を2部として扱うのであれば、双方のリーグを法人として残すことはできます。
ですので、結局のところはそれら出資金と債務についての処理が大きな課題になります。
あとは個別のチームの経営上の影響を考えることになるための調整ということになります。外国籍選手やサラリーキャップについても同じです。ただ、基本的にはビジネスサイズが強弱をある程度決定しますが、戦力を社員制などで固定すると、その通りに流動的に選手が流れていかず、政治力で強弱が決まる面もあるので、(私としては)戦力の流動化は必要不可欠で、新トップリーグのプロ化をbj側が求めていたのは当然と思います。
逆に言えばそこが担保されていれば、基本的な問題はクリアされるのではと思います。
そして、10月末までにそういう方向性をつけることが求められているのだと思います。
それを速く進めようと思えば、とにかく当時者のリーグ同士は、それぞれの素案を作成するなど具体的にすることです。素案が無ければ折り合いも無いですし、協議も空論になってしまいます。
そして早く頻繁に協議をすることです。公式・非公式関係ありません。
それ以外にはJBAという組織が大きすぎて、判断に時間がかかりすぎるということもあります。1つの事を決めるのに2,3の大きな会議を通す必要があることについて、時間がいたずらに過ぎてしまうことも問題です。
双方に特務機関を作って全権代表のような形を取ることも一つの方法です。
またNBLでもその傾向があるように遠くから見えますが、企業チームの意見が強すぎることです。会場で見る側にとっては何の意味もない出場選手関連のことがそんな目線で決まっていたと小耳に挟みました。他にもいちいちそういう事が多いのではないかな、と想像できる事象です。同じようなことがJBAの中にもあるのかも知れません。
しかしながら、プロ化に向かう訳ですから、そこから脱却しないといけませんし、だからこそFIBAは一旦「6月」としながら「10月末」の期限付き通牒を突きつけたのだろうと思います。プロフィットセンターの目線で実施しなければいけません。その目は企業ならあるはずです。
JBAも体制が変りつつあって、一連の流れを見る限り改革の方向に向かううねりは強くなっています。ただ、プロに関しての考え方がbjより楽観的なので、そこの指導はリーグ間でbjからNBLに対してして欲しい位です。自分も片方の悪いところを相手になするのではなく、相乗効果を期待していますし、良いとこ取りをしていければ、いい方向に向かうのではないかな、と思っています。
それが競争を効率的にして、その結果割れた2つの砂山が合わさって高くなる。
できなければ永劫見放されるだけでしょうとも思いますし、良くなることを期待して後押しすることが得策ではないかなと思います。
ファンもまたかと思いながら、見ています。
若い層に世界の扉を閉ざすことのないようお願いいたします。
その時は、関係者全ての敗北です。
そしてそれには私を含めたファンも含まれると、自分は思っています。
*0:47a. bjのキャップ額訂正