よくバスケットボールにおいて、企業チームが、という話を聞きます。
しかしながら、もしあなたが、企業チームがあることの問題を言うなら、その問題点を説明できますか?
一度考えてみてください。
「プロ化しないと強くならない」まあ、その通りなのですが、そもそもプロ化とはなんでしょう。
プロリーグでも0円契約もあったと聞きます。まあ個人スポンサーもあったからとは聞きますが、チームとしてそれはプロ的なのでしょうか?
もし全員5万円位の月給でも「プロだ」と言えば、それはプロとして成立していると言えるのでしょうか?
私は、こう考えます。
1.チームの運営費の負担率の問題
企業チームは、基本的に選手・スタッフの人件費、その他のチーム運営費を「広告宣伝費」として拠出するのではなく、「人件費、福利厚生費」として拠出するのが違い、と言われます。ただ、この2つについては「税法上の扱いは全く同じ」です。基本的に税務署に「スポーツチームへの広告宣伝費が経費として認められれば」、それらお金は「損金」として計上され、結果的に例えば「2億出しても8千万の法人税軽減効果がある」ことになります。ただし会社規模に対して大きすぎれば、認められない場合もあります。
プロ野球って、大きな税金面の特例があるよね、と言われるのは、「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」という1954年に出された通達があるのですが、これが大きいと言われるのは
・事業規模にかかわらず、その年度の球団の欠損金(赤字)を補填するため支出した金額全てを、損金として扱ってよい(個人での所得控除と同じ効果)。
・補填目的であると考えられる分の貸付金も、全て損金と扱って良い。
という赤字補填のための「金額・球団の用途とも無制限の所得控除」が認められていることを指します。球団の赤字を増やし、法人税の軽減を図ることもできるということです。
現状の企業チームとしてチームを保有することは、これと同じ効果があるとも言えます。
しかしながら、国際企業においては税法上に認められた所得移転などにより、例えばトヨタがひさしぶりに法人税を払ったことが報道されたり、日本のとある大手製薬企業の実効法人税率が10%台であることは、有名な事実でもあります。
ですので、現行のNBLの各チームの親企業については国際企業であることから、恐らく昔言われたほどの税法上のうまみはさほどないと思われます。無論あれば、例えば国内のみの建設業などが持つ場合には大きな意味を持ちますが。
ただ、プロリーグ(bj)の中でも親会社が補填的に結構な額の補填をしているケースもありますし、穴吹工務店はスポンサーであったときの高松は、3.5億円/年の予算の内、3億円程度が系列会社からの支出であったと言われます。ここまで極端なケースは今ではないと思われる状況ですが、それもプロ、と言われます。
あえて言えば、「1つの企業に依存する」ということの問題点にどう立ち向かうかということで、規制を設けるのであれば、1企業が1チームに下ろす事の出来る金額に制限を設ける、という方法を取るかどうか、ということです。
2.選手の流動化
もっと大きな問題は、個人的には実は、無期雇用による選手の流動性の阻害であると思われます。日本の観戦スポーツとしてのバスケットはまだまだ大きな市場ではなありません。
そのため、「ぶんきち日記」さんに記載のあった、「アメリカ型の特定の数のチームが、昇格も降格もなく、戦力均衡システムを用いて行っていく」全体最適を求める「クローズ(ド)リーグ」で実施していくことは難しいと思います。その理由は「給与のキャップシステム」を規定していながらチーム間の収益分配システムがないか少なく、かつキャップを充分使い切るチームが少ないことです。これでは戦力均衡は難しいです。
そうなると、昇降格有、個別に力・資本などを理由に個別最適化する「オープンリーグ」システムの採用が必要になってくる状況です。
リーグについてもこのような条件がありますが、オープンリーグとして体裁が出来ていない以上、選手を固定化すると、チーム間の力量差があるのですから、所属した時点でプレーできるレベルが固定することになります。もし育成レベルのリーグでプレータイムを伸ばした方が良い選手であっても、実際にはそこに到達すべきではなく、下のレベルでプレーすべき選手であっても、立場が固定してしまうのです。プロ契約は問題ないですが、社員選手については問題になります。かといって、その権利も馬鹿には出来ないですよね、得た選手にとっては。
以上の理由で個人的な意見としては、今の日本の環境では選手の所属チームは「個別最適」が必然かなと思います。企業チームの社員選手のような「人材の固定化」が問題になると思います。
3.改善の方法論
ただ、企業チームに関して、お金を出すことが、どれだけ悪いのかと言う問題があります。企業応援についてどうか、と訴える方もいらっしゃいます。確かにbjファイナルズを見ると、地域名で応援する方がしっくり来る印象が筆者にもあります。
ただ、例えば、企業の応援団と、県人会の応援と、何が違うのでしょう。プロチームであってもbjでは現実に、チケット収入の2倍前後の企業スポンサーの収入が一般的です。
1つ伺いますが、企業と個人というのは、対立する必要のあるものなのでしょうか?
企業も、県人会も、ごっちゃになって1つに盛り上がれば、もっと大きなものになる可能性はあるんじゃないでしょうか?
ただ、そこには1つの線引きは必要なのかも知れません。その前提として
・企業さんには、地域に応援してもらえる体制を、地域協会などとも連携し作り上げることを考えてもらう。企業さんが提供していることを周知してもらうことで、広告価値を上げる。そのためには地域名+愛称名チームも検討する(今時2億円/年では大した広告などできませんしね)
・個人も企業チームに対する嫌悪感を実態に合わせ改める必要がある。実際、NBLの企業チームは2016年のプロ化に賛成しており、かつ「前向き」との情報もあるのだけど、それを無視する人が多い。
その上で、
支援に関するルールを定めることは必要かと思います。
・支援金額の上限は必須かどうか?など負担のルール化。
(出してくれるのは有り難いのですが、じゃあ10億だしていいのか、のような部分を含めルール化するのも1つの方法)
・社員選手についてはリーグ内移籍を原則出向などで認める。費用は例えば一定期間の全額は企業負担を求める、あるいは一部負担する形で、選手の個別最適化を可能とする。
そうすると、意外と鞘に収まる気がしてならないのですが。
皆さんはどうお考えになりますか?
(ご意見はメールないしコメントにてお待ちしております)