いろいろ方式が変わったこともあるのと、NBLがドラフト制度についてどう考えているのかご存じ無いまま議論が進められているケースも散見されます。
ここで現状について整理してみることにしましょう。
bjリーグの現行のドラフト・新人選手獲得制度
現行のbjリーグは以下のような選手獲得制度を敷いています。
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1.新規学卒選手に対するアーリーエントリー
先行して契約ができ、翌季のA契約保証。チーム上限2名。
2.自由獲得選手
外国籍枠でない選手が合同トライアウトを受けずに契約を結べる。A契約保証。チーム上限1名。
3.ドラフト
新規参入チームが1巡の権利を得る(0巡扱い)
1巡目(A契約必須)は各チーム1名までを指名し抽選。
2巡は以前の育成扱いで、順位逆順でのストレートウェーバー。
先の1.で使用した枠の数だけ上位指名権を失う。
4.トライアウト
「外国籍枠と先の1.2.の対象」以外の選手は過去1度以上の合同トライアウト受験必須。抜け駆け契約防止のため。(2014-2015は変更の可能性があるが非公示。2013-2014までは合同トライアウト受験必須) その上で、3.で選択されなかった場合、自由に契約締結可能。
5.トレード・自由契約・FA選手の獲得。
これが機能していればいいのですが、
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- アーリーエントリー・自由獲得枠
- そもそも今季でも0,1巡指名は3選手に留まる
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・リーグ関係者からの情報として、制度通りに指名しようとしたところ、
など、2008-2009までは機能していたと思われるドラフトも、既に諸制度や運用により形骸化していると言わざるを得ない状況です。
また、サラリーキャップが制度として機能しているのであれば、ドラフトが必要かどうかも議論の必要があります。(サラリーフロア=下限=の規定がないため、報道などによると、上位と下位の差は2倍ほどあることになり、これも機能性を失わせています)
・サラリーフロアを適用する。
・自由獲得・アーリーエントリーの利用に対し、しないチームに対し補償金を支払うことを含め、なんらかのチーム収入の再分配制度が必要。
・そうでなければ、ストレートウェーバー方式で、ドラフト順位のトレードにも「事前に規定された」対価の定義が必要。
・ただし、ドラフトの前年順位での順位はNBAのような「比較下位数チームによる、傾斜確率による抽選」が必要。(敗退行為防止)
NBL(山谷COO)のドラフトに関する考え方
それではNBLですが、どう考えているのでしょうか。山谷さんのインタビューから考えてみます。
時系列で少しずつ変化があります。
・実態としてチーム間の経営格差がある
・その中で生きたくないチームに分配されるのは現状望ましくない。
・経営規模が安定した時点で検討すれば良い。
・一連の(2014/2の答申)議論でドラフトに関しての議論もあった。
・Pリーグに向けて大卒選手のドラフトは必要になってくる制度の1つ。
と新人選手については必ずしも否定的では無いのですが、経営規模が安定していない状況でどうするかということがあります。
他にも過去、全体指名順位によって、報酬の傾斜が必要という見解も拝見したのですが、生憎ネット上で探し出すことはできませんでした。
このドラフト全体順位による報酬の傾斜とは、NBAのルーキースケール(参考:Real GM)のようなもので、新人の3年目までの報酬を固定化するため、上位指名であれば高報酬が保証されるシステムです。
ただ、少なくとも現状においては、
・チームの経営規模がチーム毎に異なりすぎていて均衡策がとりにくい。
・こちらもフロア規定がないので、チーム間の選手予算規模は2倍を超えて差異があると推測され、ドラフト指名できないケースが考え得る。
ということで、本質的にbjと同じ問題になります。
サッカーが自由獲得で個別最適でそれなりに上手く出来ているとも言えますが、
(なお、bjのFA補償金については、本来FA=自由契約であって、補償金は存在すべきではありません。米国では「限定FA」と言われる制度で、言葉の誤用が有ります。FA以外の移籍に関して金銭を支払うのが合理的です。そのため逆にFA宣言しにくくなっているケースもあります)
当方は、現状でのドラフトは、まだ尚早であると考えますが、統合議論の中でどうなりますでしょうか。