この金融危機に、この国がまだ恵まれていると言う話と、でも恵まれていないという話。
今日の日経オンラインを見て驚いた。
金融収縮で、貿易に使う現金が不足する事態になり、物々交換の貿易が始まっているという。
世界で2.4兆円不足、貿易金融滞る モノ・サービスの流れ縮小
世界的な金融危機のあおりで、輸出入に必要な資金を貸し付けたり、代金の支払いを保証したりする貿易金融が滞り始めた。世界貿易機関(WTO)は12日、全世界で250億ドル(2兆4000億円)の貿易資金が現時点で不足しているとの推計を発表した。金融機関が融資などを急速に絞っているため。必要なカネのやり取りが滞れば、モノやサービスの流れが縮小、世界経済の悪化に拍車がかかりかねない。
WTOは12日、国際機関や加盟国を集め、貿易金融に関する特別会合を開き、推計を公表した。不足額は1カ月当たりの世界の貿易額の2%程度に相当する。参加者は「貿易の維持は経済危機への重要な貢献」との認識で一致。資金不足解消のため、世界の開発銀行が融資などで側面支援することを決めた。
貿易金融の停滞で、一部では物々交換まで始まっている。タイとイランの両国政府は月内にもタイ産のコメとイラン産の原油を等価交換する契約を結ぶ。イランは輸入代金の支払いに使うドルを調達できなかった。(ジュネーブ=藤田剛) (2008/11/13 11:44)
現在原油産出国に言わせると、産油のためのコストが1バレル当たり50ドルくらいかかっているというのだけど、実際50ドル近辺に来て、イランがこのような貿易を始めたことに驚きを感じる。まだ日本はこういう事態に陥っていない、ということが(政府収支を考え合わせると)恵まれていると感じる点。
もう一つは恵まれていないと思う点。
金融から物作りへの回帰と言われているが、実際にはこのところNYダウより日経平均の下落率の方が高い。今日も5%以上値を下げた日経平均。竹中平蔵さんは日経の下げ率がNYSEより高いことから、日本が評価された訳ではなくむしろネガティブ(逆)と言う主張をしている。
この3ヶ月で日経は13,023円から8,329円まで36.0%値を下げていて、NYダウの11,533ドルから8,283ドルの28.1%と比べると、8ポイントも下げている。でも円とドルを比べていることにおかしさを感じないだろうか。この3ヶ月でドルは109円54銭から95円82銭まで安くなっているのだから。NYダウの指標を円に置き換えるとこうなる。
1,263,325円→788,886円10銭。37.6%の下落、である。
つまり、少しは日本の株はアメリカの株より評価されているのであって、むしろ金利政策上の低金利による円キャリー取引を規制できなかったために、取引を解消するために円が買われたことを理由にして円高になってしまったことが不幸、だとも言えないのだろうか、と。
そういう点で実力に比較して(金融政策の失敗により)恵まれていないのだな。
そんなことをふと思ってしまいました。