シャンソンの杉山選手の帰化・移籍を巡ってニュースになり、いろいろな議論があります。
状況については、下記の記事をご覧頂くとして(特に日本語タイトルの記事をご覧ください)…
その議論としては以下の通り
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1.シャンソンは違反行為をしていない
2.JBAはFIBAに罰金を払ってない
3.シャンソンが支払ったのは「養育費」である。
4.中国協会の移籍書は不要である
5.問題はWJBLの登録問題でありFIBAが関与すべきではない
さて、どうなのでしょうか。
確かに、以下の毎日新聞の記事ではわかりにくいのです。
バスケット:シャンソンが仲裁の申し立てへ(2014/6/19)
下の2つの「中国発」ないし「中国発の翻訳記事」を見てみましょう。
Li’s defection to Japan rankles the CBA (2013/4/17)
- 【要旨】
中国協会はユースの国歌代表であり、日本での2010年のけがの治療を理由に、北京のチームを離れた李選手が、後にシャンソンで杉山姓を名乗り日本国籍を持ちプレーしているのを確認した。
李選手の前所属チームの告知なしでの移籍は移籍市場ルールを著しく毀損するものである、と中国協会の担当者は述べた。
FIBAは、日本協会とシャンソンに計48,300ドル(約461万円=4/1 95.4円/ドル)を科したが、中国協会としては、中国への再登録を日本側に求める。
バスケ元中国女子代表が日本国籍取得 杉山美由希に改名(2013/4/12)
- 【要旨】
・杉山選手はFIBA裁定により、日本での競技者登録が正式に認められた
・U-17女子バスケ世界選手権大会に中国代表として出場したことがある
・18歳未満の国際移籍を禁じるルール違反を中国協会が指摘
・移籍にシャンソンが中国協会に200万円の補償金を支払う条件が付いた
まず違反行為はあったのでしょうか。
FIBAの規定にはこのようにあります。
FIBA Internal Regulations 2010 – Players and Officials – Book 3
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【要約】
42.移籍証明書はそのプレーヤーが次に加盟国でライセンスを得る前と、その前の最後にライセンスを得た加盟国より得なければならない。その双方のレターをFIBAに送付しなければならない。
50.18歳の誕生日を迎える前の選手の国際間移籍に関しては、FIBA加盟国間や、要時クラブ間と選手間に関係する、事務局長の承認を得る特別なケースを除いて認められない。(特別なケースにおいての条件も本文中に記載あり)
以上より、
1.については中国協会が違反行為はあったとしているので、見解の相違はあれど「中国側には存在しており」、また、「FIBAが金銭を科している」ことから事実上はあった。
3.中国の報道が正しければ支払っている。
4.移籍書は国籍変更でも国家間の場合は必要である。
5.上記より国家間の異動となるため、WJBLの登録問題ではなく、国際移籍の問題であり、FIBAの管轄である(移籍証明書の規定より)
ということで上記の噂はほぼ嘘と言って良い状況です。
では2.についてですが、
JBA 平成25年度、第7回理事会議事録
の4.報告事項の(13)に於いて、JBAより支払いが完了していることについて報告が上がっておりますので、支払いはされている状況となります。
ということで、2.についても嘘っぽいなあということです。
ところでこの中で、48,300ドルという200万円という2つの金額が出てきます。
差額は261万円。ん?どこかで見たことがある金額です。
先の毎日の記事にあった25,000スイスフラン(265万円)とほぼ合致します。日本円からスイスフランへの為替手数料は高いので、4万円は誤差の範囲内かもしれません。
これらの記事の関係があっているのだと
・実際にはJBAに対しFIBAは265万円の罰金を科し、別にシャンソンは200万円の移籍金を中国協会に支払った。
・シャンソンは、2重の金銭支払い(265万円の80%の212万+200万)であり、妥当性に欠けるという主張。
ではないのかなあと推測できます。
まあ、協会さんの説明で齟齬があった可能性が高いのかなあ、と推測しています。
あなたはどうお考えになりますか?
そしてそれでも噂を信じますか?
#以下、2014/6/22 18:00 追記
あとから補足頂いたことですが、2014/5/29のニッカンの記事に、この経緯内容と相似する記載があります。
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・FIBAは国際移籍ルールに抵触とした。
・FIBAはシャンソンに移籍補(填?)金、日本協会に罰金を求めた。
・両者とも支払った。
・協会はシャンソンに罰金の肩代わりを要求して対立が続いている。
#なお、個人的には仲裁に運ぶことは問題はないと考えています。