何にせよ、その道に入り込んでいる人と、そうでない人の間には高くて大きな壁があるのだろうけども、インターネットが広範になってからというもの、ジェネラリストとしての物の考え方ではなく、みんなスペシャリストとして物を考えてしまい、一般が置き去りになってしまうってのはあるのだろうな…と思う。

今回のストリートビューの問題でもそれを如実に考えました。
CNETでのパネルディスカッションでも、IT技術者目線から言えば隠せるものはない、マッシュアップしてしまう技術はある、なんでしょうけど、一般の人は果たしてそうでしょうか。

実際バスケット関連のブログをやっていますが、そこの情報は基本的に各所で公開された情報を基にし、取捨選択とマッシュアップをしています。ただ、その結果から逆の行動に出る人が結構いて、基になる情報を検索しようとしてまた戻って来られる方が結構いらっしゃるんです。サイトのスタッツって本当におもしろいと思いますが(^^;。

それに匿名掲示板だって、そこの情報を拾って、拡散している。サラリーキャップの数字だって、来期の実際の数字をこのおっさんは知ってて言ってるのだけど(リーグが公開していないので公開事象としていない)、とあるメディアに「10%上がって7,600万」と掲載されたのをきっかけにその間違った数字が一人歩き中(ちなみに10%は間違っていない)。記者の誤記であると思われるその数字が匿名掲示板では当然のように記載されている。実はこの自分のサイトでも意図的に数字を精査せず、概算で記載した数値が匿名掲示板で一人歩きしているものがあって、多分来週にも公表される数字とは一致しない、ということもある。

そういうマッシュアップできない人が one-size-fits-all的な情報を1カ所で手に入れることができるとしたらどうか。それはマッシュアップとは違う結果を呼ぶのは当然じゃないかと。要するに情報を1カ所で得ることでしか情報を処理できない人が結構多い、という事実と、そういう人達に衆知されるとどうなるか、ということの二点。

例えば住居の大きさを記載した地図を入手することとは誰でもできる。でも電柱の位置を記載した地図を入手することは誰にもはできない。しかもその電柱の下部にのぼるための「杭」があるかどうかを調べるには、実地調査しかない。でも、このサービスでは1カ所で可能だ。ということはこれら情報で利益を得るのは誰で、損失を被るのは誰か…あえて書かないけど。そういうようなことはたくさんあると思う。

それをそういうサービスで利益を得るだろうとひとくくりにできてしまう業界の方が多いのには閉口する。自分たちの業界が利益を得る、というならまだしも。そして誰も損失を受けないと「信じている」。

また公道からの撮影は無問題と言い続けているが、これも判で押した対応。というか無思考。2.5m~3mの位置から覗くことを、塀のある家は通常想定していない。せいぜい2mがいいところで、庭が丸見えになっている場所すらある。これをオプトアウトは勝手にね、とはなんとも勝手である。

こうなると、早くこのサービスを使った犯罪者が出てくるしか根本的な解決はないのではないかと。
理由は簡単だ。
それをメディアが過剰報道して、サービスがあることによる危険をあおってくれるからね。
実損害額での裁判を10年もやるお金は、Googleにあっても、一般人にはなかなかないだろうし。
強者におもねる裁判制度を持つ国では、それが近道かなと。
中国と違って三権分立がある、と言い張るメディアさんにがんばってもらわないとね。

少なくともそこから見える光景により、用意周到にあなたの家の扉をたたくセールスマンの数は確実に増えるってことだけは想定しておいた方がいいのかなと。

投稿者 wolfy

「Googleストリートビュー関連に見る、マッシュアップの業界人と一般人の認識の違い。」に2件のコメントがあります
  1. 金が有ろうが、技術があろうが、権限があろうが・・・
    要はいくら野心的だろうが、「勝手に他人を振り回すな」「複数意見を前提にした合意形成という、重いコスト(裁判でいえば立証責任)は力のあるほうが払え」という制度運用なり市場判断を育てていくしかないように思います。

    しかしながら、この国内で、路上を走行中の自動車の座席まで、無区別に自動撮影し続けるシステムがとっくに稼動し続けていながら、今回の私企業による無差別撮影爆撃と並んで問題視されているだろうか。逆に言えば、運用権限者である警察は撮影前に、合意形成につき何かしたであろうか。あるいは、事後的にせよ、行政に対する、別の権限たる国会や裁判所、メディアが継続して考えさせる材料を提示してきたか。確かに北米は野心的挑戦のぶつかり合う市況だが、同時に未知の新戦闘機F-22の開発コストは妥当なのか?とTVメディアが自分たちの問題として報じる程度に、合意形成コストを払う行動様式もある。自動車自動撮影システムに至っては、警察が設置を試みるたび、通行者による破壊という抗議によって、未だ運用に至っていないとも。

    公的機関が官僚的、封建的に過ぎ遅すぎるというなら、では「改革」時代に大手を振った、国内における市場競争はどうか。市場判断という”神の手”はとっくに「最大企業の最大利益」におもねる構造になっており、報道は広報に自ら成り下がり、その解釈すら商業化における野心的即断に毒されている。最大手のメーラーが半角カナを素通ししたがため、インターネット上において規格逸脱であった半角カナが氾濫し、その他大勢は泥縄での対応を強いられた。
    IT技術者を自称するなら、類似例も含め、最大企業(国内ならオークションの寡占元とかね)の自由の対価(録画物オークション出品対策だという、地デジ強制に伴う無差別視聴制限CASや性悪説規制COGとか)を意識して、今回の一件を書く者が一人や二人出て来なければ成らないと思う。それも、単なる北米と国内の異文化論に留めては不十分であろう。なにしろ、国内関西勢一社の液晶TVやモバイルPCが、安心”感”で市場を寡占してしまい、直接結果責任を負わないと各社都合よく断った上で、製造工場の地名(では、故障したら”産地”都道府県が直してくれるのか?)や強度(では、満員電車で圧壊したら?自損扱いじゃないの?)を誇示するという、売買双方における仮面取引・思考放棄が横行しているのだから。

  2. >Teruさん

    Nシステム…ねぇ。犯罪者を捕まえるための道具が、小生が当て逃げされた際ナンバーの「7桁」を憶えていたにも関わらず、一切使わなかった兵○県警。しかも「偽造ナンバーだから捕まりませんわ」と事後に言い放った○庫県警…。何のために使用しているのだか。

    B-CAS…天下りと独占禁止法違反(特定企業を締め出す効果を持っているため)の疑念が晴れないシステム。そしてその会社がPマークすら取っていない(取得を公表していないだけかも知れないが)という事実。

    ただそれを公にさらしているのか、そうでないのかという問題。
    どちらが問題が多いのかとね。

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