なんだかTVでつまらない議論をしている。
市区町村別で全国の学力テストの結果を公表する、しないの議論。
しないという教育委員会をクソ呼ばわりして、波風を立てて喜んでいる。
でも実際に阪神間ではこういうこともある。
彼はそれを知らないのだろう。あるいは知っていて言っているのだろう。
1つの目標のために。
実際に、線1本隔てて、人気のある街とない街がよくある。
かならずしも現実がそうであるだけで、そこが悪いと言うわけでも無いから、
あえて街の名前は挙げないでおく。
そこはそこでいいところがあるから。
でも、どの街にもそういうところはある。
例えばその2つの街は、1つの街がこの15年で20%も人口が減り、もう1つの街は25%も人口が増えた。
新築の建築物件の価格も600~1,000万円も違う。
同じ程度の建物であっても、だ。
理由は例えば、所得の格差。元々地主が住んでいたとか、小作の集落であったとか、そういう理由で所得の格差が出ていたりする。
教育にかけるお金も違うので、平均した学力にも差が出る。
現在言われている、格差が格差を呼ぶ元凶と同じ。
そして、学力が高いと言われている街は「教育地区」とか呼ばれて、さらに教育熱心な所得の高い家庭が移り住む。
格差が固定していく。
そして開いていく。
その結果が住宅の価格や、人口の推移に影響が出る。
さて、この結果を公表するとどうなるだろう。
住んでいる地域同士で競争する、というのが賛成する人の意見だが、実際はどうか。
その地域の意識を変える、よりは所得の高い人から可能性の高い地域に移り住むんじゃないかと。
教育本でもそうだけど、その子に合っているかどうかより、根拠の脆弱な英才教育に力を入れる。
サンプリングをして所得条件などが同じで、そのような教育をしたかどうかなどの検定をせず、単にいいと言われているからというだけでそう判断する。
要するに責任のない人気投票だ。
はっきり言おう。
彼の通っていた高等学校には、家族何代に渡って同じ高校に来ようとする人が結構いる。
宝塚に住んでいるのに、受験の時に越境して、やってくる子もいる。
府立高校だからだ。
その高校はここのところすっかり、旧帝大系に行く人数が減ってしまった。
他の府県との競争、私学との競争に負けているからだ。
それを改めるためには、何が必要か。
公教育を市場に放り込んで、競争させて、一部の成績優秀な人間を作れば、その中で自然と競争は進む。
彼が求めているのは、実は単にそれだけの理由で、地元でそれを育てて、結果的にその高校のレベルを上げたい、それだけのように見える。
学区制廃止もその一端じゃないか。
あくまでも府の中では1,2と言われているから、学区を廃止すれば府内のどこからでも優秀な人間がそこに集まる、と考えているのではないか。
そうとしか思えない発言が多い。
でも実際にはこれらの結果がどうなるか。
すべからく指数化するために、手順を踏んだTOEICのようなテストとは異なり、問題の恣意性で必ずしも生徒の正しい実力を示すとは限らない(応用力を試さず、都合のよい解釈をさせる、という意味もある)今のテストで指数化した数値が一人歩きする。
そんなことが現実に起こっていることを、彼は知らない(ふりをしている)。
それが不憫でならない。
そしてそれ以上にそのようなことが何をもたらすかすら考えないで、単に右派煽動的な発言に狂喜している人たちがいる。
それが最大に不憫でならない。
府内での「可能性の高い地域」の偏在を目の当たりにされたら、一度きりの「ハンモックナンバー」を汚すような教育「負」債を、自分達だけは負いたくないという思考の結果は、見えています。おそらく、「府」を飛び越えて「トヨタ」県と「祭典」都への頭脳移動になるでしょう。府は市場原理と称して液状化を煽るというなら。すでに、北海道の某市で財政破綻が露呈したら、内情を熟知する市の重役から退職していった様に。
この知事の言動の報じられ方で、もう一つ奇異なのが、地方自治体には権限無き「地域空港統廃合」論。記者にけしかけられる直前に知事が”陳情”していた省庁は二つ有るのに、空港を直轄する国交省までしか報道の射程に入っていないのは何なのか。
私は端的に、某知事が特定空港廃止論を公言した決め手は、もうひとつの陳情先である財務省から固定費削減(と国交省への牽制)のため地方空港を潰したいが、それに対する国交省の反論の拠り所たる”地元の要望”を封じるよう、知事への指示が有ったのではないかと考えています。
下から知事が汚れ役を買って出た形を作り、上からは役所の中の役所が、その意図を知られる事も無く(省庁間・対地方自治体への)影響力を増す。でも、取り分が有り得るのは知事の手柄までで、府民へは空手形のみ。
などという事が無いか、着眼できる報道は出来ないものか。