今日も頑張る?「下野新聞」こと産経。

By | 2009/09/24

八ッ場ダムに事業中止の費用に関する記事が産経(2009/9/23)に。
さすが「下野なう」で「ここからが力の見せ所」。
突っ込みどころ満載。

ただ、ダム事業費4600億円のうち、すでに3210億円が投入済み。27年度の完成が見通せるところまでこぎ着けていた。

建設を中止した場合、ダム本体工事費620億円が削減できるほか、完成後の維持費も不要になる。一方で、これまでに事業費の一部を拠出してきた6都県に対する費用の返還や、地元住民への今年度以降の生活再建関連費の補償を合わせると2200億円が必要になるとも言われている。

さて、問題。
1) なぜ、
ダム部分の工事+生活補償部分の工事・費用<生活保障部分の工事・費用
なのか。

2) なぜ6都府県は事業を中止して、「費用が削減」できるのに「費用の返還」を求めることができるのか。

A. 1) 事業中止による返還費用を多く見積もっている。一方、その土地が失われるコスト、ダムのメンテナンス費用は(明記されている通り)計上していない。

A. 2) 建設業界との癒着と、費用に関する概念が「使ったもの勝ち」だから。(予算が多い方が偉いという官庁の既成概念があるから)

さて、産経さんはそのフォローをしてくれるのか…
する訳ないよね。

ちなみに、ダム建設で移転する先の、きれいな建築予想図のスケッチがTBSで流れていました。ダムを造ると、そういう建築利権もできるんですね…。町ごと作り直すんだから、「2110億円の計画が4600億円に増額」することになる訳ですね。あ、平成15年と言えば、小泉政権でしたね。痛みを伴う改革、でしたっけ。どこに痛み、だったのでしょう。

ちなみに平成20年度で政府の一般会計・特別会計併せて、年間で19兆6千億円が国の建設関連事業経費として支出されています。
いわゆる建築ではなく、建設業界の人口は440万人と言われていて、農業の240万人を大きく上回ります。
建設業界1人当たり、440万円が政府から支出されている訳です。
それも他のダムで「直轄事業」として、地方と支出を分けるようなものや、地方のみの事業はこの「1人当たり440万円」に含まれていません。
地方も含むと、一体税金からどれだけの費用が投下されているのでしょう。
しかも現状、一般的に建設業界に投下した費用の「1倍未満(0.9倍程度)」の経済効果しかないことが分かっています。

日本の建設業界の人口比率が、欧米の何故2倍もあるのか、という答えがなんとなく見えてきます。

本質的に議論しないといけないのは、
・建設業界の効率化
・必要な建設支出の絞り込み
・より経済効果として効率の良い事業への支出の振り分け
を、自民党が農業や他の産業に求めてきたように、建設業界にも行ってもらわなければならない、ということです。

それを無視する新聞は、その業界団体と何かあるのか、ということですね。

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