参院選から6日。
ご存じの通り民主党が政権奪取して初の国政選挙。
結果はご存じの通り。民主は改選議席から6減らし、自民が改選第一党へ。
自民党は過去の国会であった比較第一党からの議長選出の慣例を破るつもりとのこと。
「国民の負託を受けたから」
そうですか…
そう言えば、日本の国会でそれが破られたのは只1回。
細川護煕政権の時に、連立政権が統一議長候補を参議院で出した時にあったのみ。
参議院では「統一会派を含め」比較第一党が議長を出している。
そうすれば大義名分が立つ理由はひとつだけ。自民と公明で統一会派を組めばいいのだ、ということで。
でもそれをするつもりはなく。
多分、ねじれを顕在化させるための施策。
要するにスピードが必要になっている今の政策判断の中で、混乱させるのが第一の目的とも言える。彼らの主張が「最近の民意の付託を受けたから」尊重されるべき、というのであれば、自民と公明は「みんなの党」が連立を組むに当たって「民主の政権公約を取り下げ、自らの主張を丸呑みにせよ」と、民主の投票した有権者の方が多いにも関わらず、そのような「民意の付託を無視した」主張に対して非難すべきであるのに、こともあろうか自・公が「参院議長選出」に関して自らの主張に乗るのを歓迎するのだという。
「都合の良い主張」
国民の負託の反映方法は、ルールで決まっているということもお忘れで、国民までそれをお忘れだ、ということ。
FIFAワールドカップであったドイツ戦のイングランドの「ゴール」をさかのぼっても「認めるべき」というのがある意味「日本人的」な考えだけれども、実際にはルール・運用をどう変えるか、というのが必要なこと。間違っているなら変えればいい。
でも、ルールは変えず憲法の運用のようにねじまげる。
あ、これも「ねじれ」だなぁと。
民主党は衆院選の政権公約に対して、工程表を付けなかったことと、それに対する順序の説明を回避したことが問題だった。そして説明が一貫していない。これは、衆院選の後にも言ったけど、実際に民主と自民は、アメリカ(依存)的新自由主義政党と、旧来型建設依存の保守政党と、社会民主主義的方向性を持つ政党に割れるべきである、と思っている。もう一つ加えるなら「米中均衡型」自由主義政党があってもいいのかも知れない。
実際に消費税・一般政策などで、新自由主義政策を取って来た自民党が大きく民主党の主張に寄り添う形になった(分配方法に疑問を持つ程度の経済政策の差異、という点で)のは、政権交代による振れ、でもあり、2大政党の功罪半ばな点でもある。要するに論点隠し、である。悪かったのは消費税問題で自民党の主張する10%をたたき台にしていい、というのが、いつしか3年後には10%にする、という誤解を受けたことだ。もちろん極論だが、自民党の主張は3年内に10%と取れることは付記する。
それの対立軸が、消費税増税反対・小さな政府と実は「小泉残務処理の自民」と民主の対立軸をそのままにした、「みんなの党」である訳で。その政策の中身を精査せずに投票されている傾向が、投票者へのインタビューに現れていたように思う。逆に一時復調傾向だった共産党は、実際に格差貧困を受けているものにも十分な支持を拡げられたとは言えない状況で、埋没傾向に転じた。
給付が多すぎる、というのが今回のひとつの論点だったけれども、いつから「こども手当」がこどものためにお金を余分に使う施策になったのか。これは少子化傾向を止めるための施策であって、只でさえ食費などで負担が増えるわけで、その負担を社会で分配しましょう、という物の筈である。でも、それがいつしか「それをパチンコに使う親がいる」という議論にすり替わる。それなら包丁を持たせたら人を傷つけるし、着火剤を持たせたら放火するので、販売を禁止すればいいのである。そういう議論がまかり通る。むしろパチンコは借金問題=多重債務問題に関連することが多いのだが、何故かその功罪はどの党も問わない。触れてはいけないのだろうか?借金してまで遊べるからパチンコをするから、パチンコ屋や競馬場の近くに消費者金融が乱立したのではないのか?また、元に戻ってこども手当について、「景気浮揚施策」と言った民主党議員もいるのだからややこしい。
高速無償化についても手順を示していない。「1000円高速から値上げになる」という批判も、そもそも麻生政権が景気対策に名を借りて、無いと言った埋蔵金が出て来、更に国債も発行し、民主党の政権公約に対して「無理から後先見ず行った」施策であったことが忘れられている。そして、それを民主党も説明をしない。
本当に道理を説明したがらない、ワンフレーズポリティクスがまかり通る。内実がない。
短絡的な国民に短絡的な政治。
その結果が、これである。
でも、経団連まで言及しているように、これで国会運営が混乱するようであれば、実は「失われた20年」以上の混沌が現れる可能性がある。
債券に対する信用がギリシャのような大きさ経済混乱ですら、世界に波及する。
日本も他人事ではなく、国家の貸借対照表上は350兆円の「債務超過」と週間ダイヤモンドは伝え、
更に郵政「再改革」法案が通らなく、当初の自民党の案通りいけば、350兆円の資産を持つ金融機関が、わずか10兆円弱で「売却」されることになる。(当時のエントリーはこのブログの何処かにあります)
国民新党の主張は異常(2000万まで預け入れ受け入れ)な面があるが、あの郵政改革はその意図があったのは事実で。
民主党が外国人参政権(国政・地方自治双方)など、一般にも疑問を持たれる施策を同時に揚げるのは選挙を勝つためかも知れないが、それでナショナリズムを過剰にあおるのは正直得策ではないと思う。もちろん「逆」も自ら統一教会問題が有るのを隠しているし。それをネタに「混沌が起こる」と言い、「混乱」を起こすことに成功した、とも言える。「混沌よりはマシではないか」と。
ただ、IMFがあの通り(速やかに消費税増税し段階的に15%に、さもなくば年金の30%切り下げ)言う状況を考えれば、事態は実は猶予できない状況であることは自明である。でも、自民は東京新聞他によると、「政治とカネ」をまず追求するつもりということのようだ。で解散を迫る…。
いや、3年後にはほぼ衆参ダブル選の状況だった訳で、そこでこの混乱を招いたことは、3年、その後に続く混沌を呼ぶ事にならないか。
選挙特番の毎日放送ローカル部分で、安倍晋三氏(自民)が述べたことが印象的だった。
財政赤字について責任を問われた局面で「バブル崩壊から、金融危機、リーマンショックなど、経済危機が続くことが予想できなかった」「でも赤字を出したから、失業率は5%で済んだ」…
つまり、20年間外的要因、内的事件が起きなければ、自民党の政策は上手く行っていたという主張…
こういう人が政策の中心にいて、今後のより外的要因の大きくなる混乱に対して対応できるのか…
混沌を避けた混乱、という彼らと揺れた国民の主張とは別に、
実は混乱を避けての混沌、が現実的になった、といえるようにすら思える。
なにはさておき、措置を講じる事の出来る国会にしない党は、国賊(である)になる。
そういう3年になることを、忘れないようにしたいと思う。
党利党略で国を滅ぼすことのないように。
それは、戦前の議会もそうだったので。