民主党のマニフェストに対する批判について、財源の一点に話題が集中するけれど、なんだか変だ。
政策には将来のこの国の図があって、それを活かすための方策でもある。
それではその方策の是非について、なぜ論じない?
民主党の例えば「子ども手当」は実際には減税策ではなく、少子化対策である。
少子化対策が必要な理由は、人口を失えば市場を失うということにある。
キリンとサントリーの合併も同じことがいわれ、最早日本市場に希望はそれほど無く、海外に打って出る必要があり、そのためには現地法人の買収=資本が必要だからという。
要するに、この国の市場の多様性より、海外の多様性の方が、こういう企業については重要だということにある。ましてや資本の国際化が進めば、日本企業の主要株主が特定の他国という状況も十分にあり得る。
人口を維持するというのは社会の活力に於いて必要なことだと思う。
それでは、自民党の施策はどうだろうか。
どこかの首相が「高齢者は働く事しか知らないから」と言ったが、今やなぜかその話題はどこかに行っている。その人は2006年にも党のブロック大会でこう言った。
65歳以上の人のうち本当の意味での寝たきりは15%しかいない。あとの85%はまわりが迷惑するくらい元気。こういう人は働くしか才能がないといえば語弊があるが、あんまり遊んだことはない。そういう人たちをうまくおだてて使うことが会社経営者の才能。
要するに民主党の施策は子供によって、人口を維持するための施策。
自民党の施策は高齢者を80歳、90歳になっても、雇用者の為に働ける限り働かせて、給付を減らす施策。
ではないだろうか。
あと、財源を言うなら、政府の今回の15兆円の財政出動の財源はどこだったか、考えて見るといい。そして、それが何か今後の消費に結びついたか、考えてみるといい。2兆円ばらまいた定額給付金はどうだったか、13兆円ばらまいた緊縮財政の中で各省庁が暖めていただけの施策の寄せ集めの結果どうだったか…エコポイントやマイカー減税も、先の消費を食べているだけの施策ではないのか、と。それも財源の一部に自分達が「無い」と言い張っていた埋蔵金の一部を使ったのは、全く無視。
批判をするなら、それらの説明をすることが与党の説明責任ではないのか、と。
そうすると彼らは言うだろう。3年後の消費税増税を。
中福祉中負担の国が、低福祉高負担になっていく。その責任を作ったのは与党ではなかったかと。
その説明責任は無し。
未来の施策、それらの施策でどのような社会になっていくのかの絵面は無し。
そんな空論は聞き飽きた。
自分達が痛めつけた国家財政の責任を自ら人質に取るのが責任政党だというなら、そんな政党はまっぴらゴメンだ。
自分達の国民と連れ去った他国民を「人質に取る」国とどこが違うのだろう?
民主党は民主党で、そういう将来の絵をなぜ示さないのか、
そのことについて不満がある。
だからこそばらまきの批判を受ける。
そして、そういう絵の比較をしたい、という欲求を持たせないメディアに最大の責任があると言えば失礼だろうか。
そこに初めて議論が起きるのだと思うのだけれども。
参考:WOLFYS.NET 2007/4/10 日経:フランスの少子化対策への給付
現首相は、自らの就任起因たる現参院選結果が、どの施政への批判票だったかを健忘しているかの様です。
現首相は、まだ外相で総裁になる直前に、次期首相になれそうだとTVで公言していました。しかし、総理総裁の椅子が回ってきた直接原因は、「後期高齢者」と「地方分権」の施政の酷さで、当時の前首相が惨敗した為だったはず。
これら施政で、給付減の中、中負担が高負担に化ける瞬間を、党内争いの最中に負担させられた事への、有権者の「No」では無いのかと。
この、福祉制度設計(健保・年金)と地方財政問題(今は、地方首長間の争いに堕している)は、現状救急(行政裁量下の暫定)措置で凌いでいる状況に過ぎません。各政党とも、安心を謳う割には(特に100年安心を標榜させた宗教依存与党とか)この制度設計には踏み込もうとしていません。
そもそも、収支処理を含む実務要員として行政機関を肥大させてきたのですから、当面、政治は方向付けと責任引き受けから入ればよいのではないかと。
むしろ、これまで内々の馴れ合いだった行政と立法間の「空気」が「政権担当者交代」で表に出て来るなら、主権者としては、そこを評価して関わっていく必要があると思います。預けてしまえば、預金金利や金融商品運用方針よろしく、いい様に取られる事の繰り返しでしょう。
>現首相は、まだ外相で総裁になる直前に、次期首相になれそうだと
現92代と、参院選当時の90代安倍総理との間には、91代の福田総理が挟まっています。とはいえ、現総理は、この2回とも(総理の前提である)総裁選挙に出馬していますので、現参院選結果を意識している必要性に変わり無いと、私は判断しています。