大阪市の”「いわゆる都構想に関する」と選挙前に言われていたのに、選挙後にはなぜか「市廃止に関する」と言われるようになった” 不思議な住民投票が終わりました。
#これはマスメディアに対する皮肉です。
実際には「特別区設置に関する住民投票」と呼ばれていたのですが。
この翌朝、よみうりテレビの「すまたん」の朝5時台に、辛坊さんがおっしゃった内容と1枚のグラフが話題になっています。
この結果に辛坊氏は「今回、(投票では)反対が若干多かったんですけど。原動力となったのは圧倒的に70代以上ですから!」と断言した。
そして、今後の大阪を決める若い世代の間で賛成が多かったにもかかわらず、こうした結果となった理由を「老い先短い人たちの目の前の不安感を解消することができなかった」からと指摘し、「これからの世代の子はかわいそうかなって気がします」と漏らした。
引用元:Everyone says I love you!
辛坊治郎氏のデマ。都構想の敗因はシルバーデモクラシーではない。現役世代が白け投票しなかったこと。
なんだかこの数字を見て、どう考えても実際の結果と合わないなあと思ったのです。
で、よみうりテレビの調査がどこから出たかを調べたところ、この数字と上記の数字が一致することがわかりました。
読売新聞「賛否割れた自民支持層…住民投票出口調査」(2015/5/18)
読売新聞社は読売テレビと共同で17日、「大阪都構想」に関する賛否について出口調査を行った。
(略)
年代別では、20~50歳代で賛成が優勢。60歳代では賛否が拮抗きっこうし、70歳以上は反対が多かった。性別では、男性が賛成57%で反対41%を上回ったが、女性は賛成48%、反対47%と並んだ。
調査は市内24区の投票所計280か所で行い、投票を終えた有権者1万77人から回答を得た。
文面から、このデータをよみうりテレビを使用していたことは明確です。が…率を見てください。
ん?男性が57:41、女性が48:47でどちらも賛成が多い?
ということは男女が同数としても52~53:43で10ポイント弱賛成が多いぞ?
実際は49.6:50.4なんだけど?
つまり、あの表の数字の信ぴょう性はどうなんだ?ということになります。
実際に投票直後にNNNが出した内容があります。(現在は日テレ24のサイトから削除されています)
賛成52:44反対 … 無回答4 … 無回答ですか???
さっきの年齢別では、無回答はなかったですよね?
無回答を比例で振ったとして(この時点でこの数字には統計的な正確さは失われます。あくまでも仮定の話になります)、賛成54:46反対になります(有効数字2桁のため)。ほぼ1ポイント差が逆に8ポイント負け。
数字が報道された内容同士でほぼ合うため、あのグラフでは期日前の反対が多かった状況について反映されていない数字が取り上げられたことになります。
つまり、その属性に依存した年齢構成などは無視されている、ということになりますし、その数は当日投票51.1%に対し17.5%と無視できない数が居ます。そこは全く無視しているわけです。特に、当日の活動が今回は可能だっただけに、活動に参加している人達は期日前で投票していることは間違いないでしょうから、期日前投票の年齢構成は通常の年齢構成とは異なる可能性が十二分にあります。
ですが、そこは全く無視をして、その9ポイントの差を強制的に補完することとします。要するに、賛成から4.5ポイントを減じてみます。先に挙げたように先の年代別グラフでの賛成の総計は54%と想定されますので、49.5/54=11/12として、1/12を賛成から減じて、その分を反対に加えてみます。
もうこの時点で仮定だらけなので、数学的に正しくなくて、数字遊びであると認識してください。
こうすると、49.6:50.4という実感に合った数字になります。
ただ、こういう修正をすると、もう1点指摘する必要が出てきます。
「男女の間の比率の違い」です。
女性は中年層以下は賛否が拮抗、全体では反対優位。男性は賛成が多い傾向になります。
でも、なぜ「女性は!」と辛坊さんが仰らなかったのか???
もうお分かりですね?
いずれにせよ、辛坊さんがデータを恣意的に扱ったという事実は曲げられそうにありません。
なお、このエントリーは数字とか統計に関する考察を行ったのみであり、それ以上の意義はありません。
また、今回のルールは事前に決まったものであるので、もしこれで「高齢者は若年者に道を譲るべき」と投票行為でも示したいのであれば、若年者がネットで間接的に高齢者をたたくのではなく、直接説得する必要があったのではないかと思います。選挙とはそもそもそういうものではなかったでしょうか。それとも、「あなた1人だけで投票すれば良い」性格のものでしょうか。
それは「独裁」と言いませんか?