長期的に見た場合、景気回復に悪影響を与える可能性の高いニュースです。1991年には15%あった家計の貯蓄率が、6.2%に低下し、USの5%に接近しつつあります。給与減少に伴うところが大きいとのこと。
実は貯蓄率は、マクロ経済から見れば大きい問題です。国民所得は大きく考えた場合、
・国民所得=国民消費+設備投資(+貿易収支+財政赤字)
・国民所得-国民消費=国民貯蓄
という数式で成り立ちます。
貿易要因と財政要因を考えなければ、上の2式を計算すれば、
・設備投資=国民貯蓄
となるのですから、一般的に設備投資が経済拡大の要因とされることから、貯蓄増が国の財政基盤になることはご理解いただけるかと思います。実際は貯蓄の数倍を銀行は貸し出しできることから、もっと影響は大きいんですけど。
この増減というのを考えた時も同じで、国民貯蓄率が下がれば、設備投資率も押し下げるのです。経団連は「賃下げ」を訴えていますし、「パートタイム」労働者の可能職種を増やすよう求めていますが、これらも「賃下げ」の一環です。
その結果がこれらの数値統計に出ているということになります。もちろん、
国民所得=家計所得+企業所得
ですから、企業経済も勘案する必要がありますが、富の配分が家計ではなく企業寄りに、また均等ではなく、貧富の差を付ける形で進んでいること。加えて、US型の経済体制へ方向付けを行っているにもかかわらず、最低水準の生活を送る為の費用は日本が圧倒的に高いままにしていること。
少なくとも「生活費用」対策を行っていないことは、現政府の失政であると私は思います。